Googleと公益財団法人がん研究会 有明病院(がん研有明病院)は、日本における乳がんの早期診断と疾病管理の発展のために、AIを活用した乳がん検診の研を実施し、乳がん検診の精度と検診プロセスの効率を向上させる結果が得られたことを発表した。
同共同研究では、2007年から2020年の間にがん研有明病院乳腺センターおよび健診センターで撮影され、個人が特定されないよう適切な匿名化を施した女性のマンモグラフィ画像を使用し、AIモデルのパフォーマンス分析を実施したとのことだ。
■AIによる「セカンドリーダー」
現在、日本におけるマンモグラフィのスクリーニングシステムでは2人の専門医による確認が推奨されているが、同研究では、この方法とAIモデルを「セカンドリーダー」として活用する方法を比較。
AIモデルが医師とは別にマンモグラフィ画像を確認し、AIと最初の医師の見解が一致しない場合にのみ、2人目の医師による確認を採用したという。
研究の結果、AIモデルを用いたスクリーニングシステムにより乳がん検出の精度が7.6%向上。これは、がんの早期発見の可能性とともに治療の選択肢が増えることを意味するとしている。
また、AIモデルが異なる医師間の読影の一貫性を向上させるのに役立ち、結果の信頼性を平均κ=0.65からκ=0.74に向上させたのことだ。
■乳がん検診の負担軽減
ほかにも、AIを用いたアプローチは検診プロセスの効率化にも貢献するという。
実際に同共同研究でのAIを用いたアプローチは、医師による追加確認が必要なマンモグラフィの数を71%も大幅に削減出来る可能性が示されたとのことだ。
これは、医療システムへの負担を軽減し、患者への対応などを含む医師や看護師のより効率的で効果的な働き方を可能にするとしている。
■乳がん検診の未来
Googleは、がん研有明病院の臨床専門家と連携した同研究により、AIの活用と日本の医療現場や医療システムとの高い関連性を示すことができたとしている。
なお、同研究結果は『Radiology Advances誌』にも記載されているとのことだ