本田技研工業(以下、Honda)と三菱商事は、2023年10月に締結した、脱炭素社会における電気自動車(EV)の普及拡大を見据えた新事業創出に向けた覚書に基づき、新会社「ALTNA(オルタナ)」を2024年7月に設立することを発表した。
両社は、EV利用コストの最適化や希少資源を多く含むバッテリーの価値向上と国内での資源循環、さらに、再生エネルギーの普及に向けて需要が拡大する系統用蓄電池による調整力の供給といった、EVの社会実装と脱炭素社会の実現にむけた課題の解決を目指し、合弁会社の設立したという。
ALTNAは、Hondaが持つEV・バッテリーの制御技術やコネクテッド技術と、三菱商事が持つ蓄電池運用やスマート充電などの電力ビジネスに関する知見を組み合わせることで、EVユーザーのTCOを低減する新たなモビリティサービスと、EVバッテリーを長期に活用する新たな電力事業の展開を目指すとのことだ。
■新会社の事業内容
(1)バッテリーリース事業
Hondaが2024年10月に発売を予定している新型軽商用EV「N-VAN e:(エヌバン イー)」を皮切りに、両社の関連リース会社との連携による新しいリース商品の販売を開始。
利用者に車両のリースを行う際、バッテリーの所有権をALTNAが保有し、リース期間中からバッテリー使用状況のモニタリングを行うとしている。
将来のバッテリー劣化予測を含めた継続的なモニタリングにより、バッテリーのSOHを含めた信頼性を高め、新車時から中古車まで長期にバッテリーを利活用するライフサイクル事業を展開していくとのことだ。
車載利用期間終了後はバッテリーを回収し、系統用蓄電池事業(リパーパス蓄電事業)へ転用。車載から定置用まで、バッテリーを長期で利活用することを前提としたリース価格の設定により、EVユーザーの経済的負担の軽減に貢献するという。
(2)リパーパス蓄電事業
車載利用を終了したバッテリーを系統用蓄電池に二次利用し、運用を行う電力事業を展開。電力の安定化を図るための調整力を提供し、再生可能エネルギーの普及拡大にも貢献。
車載利用時からバッテリーの状態を継続的にモニタリングし、得られるデータを基に回収したバッテリーを最大限活用することで、長期的・安定的な運用に結び付けるという。
なお系統用蓄電池としての利用が終了したバッテリーは、循環型のものづくり実現に向けて適切なリサイクルにつなげていくとのことだ。
(3)スマート充電事業
先進のエネルギー制御技術を活用し、電力網の需給逼迫時を避けてEV充電を行うことで、EVユーザーの電力コストを最適化するEV充電プランを提供。
エネルギー制御システムと車両を連携することにより、クルマの利用スケジュールに合わせて、最も電力の調達コストが安くなる時間帯に自動で充電を行うことで、利用者自身で充電時間を考慮する手間もかからず、EV利用コストの低減に寄与。
さらに、電力網で再生可能エネルギーの余剰が発生する時間帯に充電を行うことでグリーン化にも貢献。また、将来の市場開放を見据えた、V2Gサービスの提供に向けた検討も進めていくとしている。