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セイコーグループ(以下、セイコー)は、6月10日の「時の記念日」にちなみ、生活者に時間についての意識や実態を探る調査を実施し、「セイコー時間白書」として発表した。
タイムパフォーマンス重視が定着する現代において、多様化する時間の使い方の実態について調査を行ったとのことだ。
■現代人の6割が「タイパが社会に定着した」と実感。タイパ派は生成AIを活用し時間効率を向上
まず「日常における時間の使い方」について、現代社会で重視されるタイムパフォーマンス(タイパ)の実態について調査を実施。
15歳〜69歳の男女1,200人を対象に、普段の生活でのタイパ意識について聞きいたところ、58.0%が「タイパを意識して行動している」と答え、78.5%が「なるべく早く正解にたどり着きたい」、71.5%が「なるべく無駄な時間は過ごしたくない」と回答。
また、タイパを重視する考え方の社会への定着について聞くと、60.5%が「社会に定着したと思う」と回答。
時間の使い方で、「A:タイパが最重要課題」or「B:タイパより大切なものがある」のどちらに近いかと聞くと、「タイパが最重要課題」と答えた人は16.0%となった。
次に時間の使い方を聞くと、「タイパが最重要課題」と回答した人のうち「生成AI機能を使って時間効率を高めている」と答えた人は43.8%と高くなっている。
同様に、「時間効率を高めるためにChatGPTを使ったことがある」と答えた人も「タイパが最重要課題」と答えた人は38.0%と全体より高くなる結果に。
タイパ意識とスマホの関係については、74.8%が「わからないことは、すぐに調べないと気がすまない」というタイパ意識をもっており、スマホにより満たされる場面も多々あることがうかがえる。
知らないこと・わからないことがあったとき最初にすることを聞くと、55.7%が「インターネットで検索」と答え、「自分の頭で考える」(10.8%)と答えた人の約5倍に上った。
また、67.1%は「情報収集の際にすぐにスマホなどに頼ってしまい、頭で考えないことが多い」と、スマホ頼みに疑問を感じる人も少なくないことがわかった。
スマホを使わずネットやSNS検索なしでどれくらいの時間考えられるのか聞いたところ、仕事や勉強については「1〜2分程度」20.0%、「3〜5分程度」22.2%、「この時間はとらない(0分)」は21.5%と、全体の63.7%がスマホなしで考える時間は「5分以内」と回答する結果に。
買い物や趣味などプライベートについても、「1〜2分程度」19.1%、「3〜5分程度」20.8%、「この時間はとらない」22.5%となり、スマホなしで考える時間が「5分以内」の人は62.3%となった。
■効率主義に違和感を感じる“タイパ疲れ”の兆しも。時間との向き合い方にゆれる現代人
タイパ重視社会の中、半数の54.4%が「この時間は無駄ではないかとつい考えてしまう」と答えている一方で、「何においてもタイパの良さを求められることに違和感を感じている」と52.9%の人が回答。
また、4割の人は「時間効率を高めるためにツールやライフハックを使うよう押し付けられていると感じる」と答えており、タイパ重視が進む中、何事にも効率化が求められることに、タイパ疲れの傾向や違和感を感じる人も少なくないことがうかがえる。
タイパ疲れの実態を探ってみると、立ち止まって考える時間について、73.8%の人が「時には立ち止まってひとつのことを考えたい」と答えている一方で、52.4%は「立ち止まって考える時間がとれていない」と回答。
また、49.8%は「何もしない時間を増やしたい」と回答しているが、35.9%は「何もしない時間は怖い・不安だと思う」と回答する結果に。
この結果に同社は、立ち止まってじっくり考えたい、何もしない時間を増やしたいと思う半面、何もしない時間は逆に不安に感じてしまうという相反する考えが共存し、どちらにも定まらず戸惑ってしまう様が感じられるとしている。
■「タイパ派」と「じっくり派」は半数ずつ存在、時間に厳しい日本人の時間の使い方が多様化
時間の使い方で、「A:何事もタイパを高め、時間効率を優先して生活したい」と「B:パフォーマンスが悪くても物事にじっくりと取り組み、時間効率に縛られずに生活したい」のいずれに近いか答えてもらったところ、Aの「タイパ派」は47.3%、Bの「じっくり派」は52.8%とほぼ半数ずつとなった。
タイパを重視する時間を聞くと、「掃除」37.8%、「料理」36.6%、「洗濯」36.5%、「買い物」33.7%など、家事全般が上位に挙げられる結果に。
23年の結果と比較すると、昨年1位の「睡眠」をはじめ、「家族とのコミュニケーション」、「おしゃべり・リアルでの会話」、「友人とのコミュニケーション」など、ほかのものとは代えられない時間が
スコアを大きく下げる傾向が見られた。
タイパにとらわれずに過ごしたい時間を聞くと、1位「睡眠」41.8%、2位「家族とのコミュニケーション」39.5%、3位「友人とのコミュニケーション」35.3%という順となった。
またタイパによって生まれた時間でしたいことは、「動画視聴」19.6%、「睡眠」17.8%、「読書」
16.5%などが上位となっている。
■ベストパフォーマンスを発揮できる時間は生まれつき決まっている?個人のクロノタイプ(体内時計)を調査
「クロノタイプ」とは、生まれつき備わっている体内時計のパターンのこと。心身の活動のピークが朝の「朝型」、昼の「中間型」、夜の「夜型」に分類され、生活習慣や個人の努力では修正が難しいといわれている。
一方で社会生活ではルールに則った時間割があり、それに合わせた生活リズムが求められるため、同社はクロノタイプと生活リズム、さらには社会の時間割にどう対応しているのかについても調査を実施。
その結果、調査対象のクロノタイプは「朝型」24.3%、「中間型」54.3%、「夜型」21.3%となった。
また、現代人の3人に1人が38.7%が「社会から求められる時間感覚と自分のクロノタイプにギャップ」を感じていることも判明。
自分の生活リズムとクロノタイプとのズレ以上に、自分のクロノタイプと理想の生活リズムとの間のズレを感じる人も多いことがわかったとのことだ。
【調査概要】
実施時期:2024年4月12日~4月15日
調査手法:インターネット調査
調査委託先:マクロミル
調査対象:全国の15歳〜69歳の男女1,200人(男女各600人各年代別に男女各100人ずつ)
※構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合あり。金額は小数点第1位以下を四捨五入。
<参考>
セイコー『セイコー時間白書2024』