SOMPOリスクマネジメント(以下、SOMPOリスク)、沖電気工業(以下、OKI)は、日本における官民ITS構想(※1)の実現に必要となる交通・物流に関する社会問題の解決を目的として、4月にETC2.0プローブデータ(※2)を活用したトラック滞留時間可視化サービスの提供開始を発表した。
また、損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)、SOMPOリスクおよびOKIは、4月から7月までの期間、自動車事故の事故査定業務におけるETC2.0プローブデータの活用に向けた実証実験を実施するとのことだ。
今後、損保ジャパン、SOMPOリスクおよびOKIは、ETC2.0プローブデータを活用したモビリティ事業(※3)における新サービスの開発を継続して検討するという。
また、同取組みに留まらず、移動に関する社会インフラ全体の強靭化・高度化のため、各社のデータ共用とAI活用を促進することで、より多くの商品やサービスの開発を目指すとのことだ。
■具体的な取組内容
(1)トラック滞留時間可視化サービスの提供開始
・SOMPOリスクは、4月から、荷主または物流事業者が出入りする施設を保有する事業者に対して、施設を出入りするトラックのETC2.0車載器から取得できるデータ(走行車両の精緻な位置・軌跡など)をもとに車両ごとの滞留場所と滞留時間を測定し、可視化したレポートを提供。
・長時間滞留となる原因などについて、専門コンサルタントがデータを分析・調査し、解決に向けた対応を支援。
・上記分析においては、SOMPOリスクが構内事故防止などを目的とするリスクアセスメントおよびコンサルティング業務を通じて蓄積してきた知見や関係者へのヒアリング結果に加え、OKIの持つETC2.0プローブデータの収集・蓄積・処理に関するノウハウを活用。
・OKIは同サービスにおいて、施設を出入りする車両に限定した「ETC2.0特定プローブ情報」を取得できる事業者として、車両運行管理支援クラウドサービス「LocoMobi2.0」を提供。
・荷主または物流事業者の物流網における各社の固有な課題(時間のかかる場所など)を特定することで、さらなる運送業務の効率化を支援。
(2)自動車事故の事故査定業務におけるETC2.0プローブデータの活用に向けた実証実験
・損保ジャパン、SOMPOリスクおよびOKIは、4月から7月までの期間、ETC2.0プローブデータから自動車事故における車両のハンドリングや速度などの走行データや道路情報を取得・分析し、より正確な過失割合を迅速に算定するためのシステムの検証を実施。
・自動車事故の査定業務においては、現在は、事故の報告を受けた際に事故地点や事故時間などの情報を事故当時者に聴取し、聴取内容に基づいた過失割合の算定などを実施。上記取組みを通じて、2025年3月までに、自動車事故の当事者の記憶に頼らない過失割合の算定システムの稼働を目指すとしている。
(※1)ITSは高度道路交通システムを意味し、最先端の情報通信技術などを用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する新しい道路交通システムの総称。官民ITS構想とは、最先端のITSを維持・構築し、世界一の道路交通社会によるメリットを日本国民が享受できるようにするために官民が一体となり策定している戦略。
(※2)路側に設置されたアンテナにより、ETC2.0車載器を搭載した車両の位置や速度などを200メートル間隔で取得した走行データ。
(※3)自家用車やバス、タクシー、トラック、オートバイや自転車、鉄道などのあらゆる移動や輸送に関連する事業。