マルハンの東日本カンパニー(以下、マルハン東日本)は、今月より始動した次世代のファン獲得・育成を目指した「ヲトナ基地プロジェクト」の一環として、全国1,000人を対象とした「偏愛」に関する意識調査を実施し、結果を公表した。

なお同調査では、「偏愛」の有無を判別する独自のスクリーニング質問を通じて「偏愛者」を選定。「あなたには、自信を持って偏愛と呼べる対象(モノ/コト/テーマなど)があるか?」など10の質問に対し、それぞれ5段階で回答し、6問以上で上位2段階に回答した人を「偏愛者」と定義している。

また、上位2段階への回答が5問以下だった人を「偏愛者」との比較対照群として「非偏愛者」とした。

■日本人は偏愛人:20.6%の人が、何らかの「偏愛」を持っている

偏愛者の割合を調査したとことろ、20代から60代の日本人男女の2割以上が「偏愛」と呼べる対象(モノ/コト/テーマなど)を持っていることが明らかになった。

年代別では20代で34.9%、30代で24.9%、40代で18.5%と若い年代ほど何らかの「偏愛」を持つ傾向が強い。Z世代を中心に注目されている「偏愛」という概念だが、調査からも「偏愛」が若年層で浸透していることを物語る結果となっている。

年代別の「偏愛」を持つ人の割合

■三つ子の魂百まで:小学校までに目覚めた人は「偏愛」エリート

「偏愛」の対象を「12歳(小学校卒業)までに見つけられた偏愛者(N=94)」と「13歳(中学校入学後)以降で見つけた偏愛者(N=406)」と比較。

「自信を持って偏愛と呼べるものがあるか?」という質問に対して「非常によくあてはまる」と回答した割合を見ると、小学校以前:中学校以降=45.7%:31.5%。

また、「偏愛に関して研究・表現・収集・応援・情報発信・共感者獲得などの行動を取っているか?」という質問に対しても、「非常によくあてはまる」と回答したのは小学校以前:中学校以降=30.9%:20.4%という結果となった。

【偏愛】の対象に出会った年齢と、【偏愛】に関する意識・行動の関係

早くから「偏愛」の対象を見つけられた偏愛者は、自分の「偏愛」に自信を持ち、その「偏愛」をさらに深めようという行動も伴った「偏愛エリート」と呼べるかもしれないと同社は考察している。

■恋愛より偏愛?:「偏愛者」は、自由な時間を目一杯「偏愛」に注ぎ込む

自由な時間があるとき偏愛者が使いたいのは何か。複数回答(MA方式)では、「偏愛しているモノ/コト/テーマ」75.2%、「休息や心身のケア」56.6%、「趣味(偏愛以外のもの)」53.8%、「家族や友人と過ごすこと」50.4%が上位で、「恋人と過ごすこと」は16.2%でわずかとなった。

偏愛者における自由時間がある場合の優先項目(複数回答:単位%)

また、その中で最も時間を使いたいもの(SA)では「偏愛しているモノ/コト/テーマ」が39.2%で2位以下に2倍以上の差をつけ、「恋人と過ごすこと」に関しては10倍以上に。

この結果に同社は、偏愛者は「恋愛より偏愛」と言いえるのではないかとしている。

偏愛者における自由時間がある場合の最優先項目(単一回答:単位%)

また、「1週間のうちで偏愛や趣味にかける時間」を比較すると、対照群の9.51時間に対して偏愛者は12.32時間と約3時間上回った。

偏愛や趣味にかける週平均時間の比較

■偏愛者は自分に満足している!:偏愛者は、幸福感や自己肯定感が高い傾向に

偏愛者の3人に2人となる66.6%が「私はいま幸せだ」と感じ、自己肯定感が高いことがわかった。また、「実年齢よりも若く見られる」「自分に対して自信を持っている」「友人が多い」の3項目は非偏愛者の2倍以上に。

幸福感や自己肯定感に関わる質問に対する偏愛者と非偏愛者の回答の比較(複数回答:単位%)

さらに、一般的に他の世代と比較して自己肯定感が低いと言われるZ世代(20代)においても、「いまの自分が好きだ」「自分自身に満足している」「自分に対して自信を持っている」「友人が多い」の4項目で非偏愛者の2倍以上のスコアを記録。

自己肯定感に関わる質問に対するZ世代偏愛者とZ世代非偏愛者の回答の比較(複数回答:単位%)

■偏愛はコミュニケーションツール:「偏愛」は人との距離をグッと近づけてくれる

「偏愛」がもたらすポジティブな効果として、偏愛は人との距離を縮めてくれるコミュニケーションツールであることがわかった。

調査の結果、「初対面でも打ち解けることができた」「自分のことをより深く知ってもらえた」「親しい友人や仲間が増えた」など、「偏愛」が人間関係を円滑してくれたという経験を持つ人が多くなっている。

なおZ世代(20代)においては、「偏愛」を通じて、他の人に自分の事をより深く知ってもらえた経験がある」「偏愛について熱く語る友人を見て、その友人のことをより好きになった経験がある」が、偏愛者全体の平均よりも高い傾向に。

「偏愛」がもたらすポジティブな効果:コミュニケーション(複数回答)

■偏愛は人生の燃料:「偏愛」は仕事や健康にも好影響を与える

偏愛がもたらすポジティブな効果として、「仕事など他のことにもやる気が満ち溢れた経験がある」「心や体が健康になったと感じた経験あり」「人生が好転した経験あり」など良い影響を感じ取っている人が多く、この傾向は特にZ世代(20代)で顕著となった。

偏愛がもたらすポジティブな効果:健康や人生の充実度(複数回答)

「偏愛」は単なる趣味の域を超えて、その人の人生そのものをより良いものに変えてくれる存在となっていることがうかがえる。。

また、年収に関しても、偏愛者の方が非偏愛者に比べて600万円以上が占める割合が高いことが判明。

偏愛がもたらす効果:経済性

「偏愛」が人生を充実させ、仕事にも好影響を与えた結果、収入という形で現れていると同社は推測している。

■偏愛応援社会は未だ発展途上:「偏愛」を後押しし、好きなことを好きと言える世の中へ

偏愛の受容度の変化に対する認識を調査したところ、38.8%の偏愛者は世の中が以前と比べて「偏愛」を肯定的に受け止めるようになったと感じていると回答。

偏愛の受容度の変化に対する認識

一方で、偏愛者のなかには「自分の「偏愛」を熱く説明してしまい、他人に引かれてしまった経験がある」「後ろめたい気持ちを持って「偏愛」に関する活動を行った経験がある」など、自らの「偏愛」に関連してネガティブな感情を伴う経験をしている人も少なくないこともわかった。

なお、ネガティブな経験をしている割合はZ世代(20代)で特に高めとなっている。

「偏愛」がもたらすネガティブな効果

また、およそ4割の偏愛者が家族や友人などの周囲の人たちに対して、自分の「偏愛」を堂々と表明することに抵抗を感じると回答。

理由を見ると、「理解されないと思うから」41.9%、「共感されないと思うから」38.4%、「恥ずかしいから」29.3%、「誤解されたくないから」22.2%など、外部からの反応・評価を気にかけている偏愛者が多いことがうかがえた。

自身の偏愛を公言することへの心理的ハードルをもたらす理由

<参考>
マルハン東日本『「偏愛」に関する意識調査