Appleは、世界中のクリーンエネルギーと水への投資を強化することを発表した。

太陽光発電所開発プラットフォームであるib vogt社と協力したスペインのプロジェクトの様子

現在、18ギガワット以上のクリーン電力が同社の世界中の事業および製造サプライチェーンに供給されており、この数字は2020年の3倍以上にあたるという。米国とヨーロッパでは、Apple製デバイスの充電と使用に使う電力に対応するため、ソーラー電力に新たな投資を実施するとのことだ。

また、同社は水ストレスが高い事業所で、企業活動に使用される水を100パーセント供給するとしている。これには、今後20年にわたって、帯水層や川の回復、飲料水のための資金調達などによって70億ガロン近い水を供給する、新しいパートナーシップの開始が含まれるという。

同社は、クリーンエネルギーと同じように、サプライチェーン全体できれいな水の節約についての取り組みを拡大。同社のサプライヤーは、昨年合わせて120億ガロン以上のきれいな水を節約し、2013年に同社がSupplier Clean Water Programを開始して以来、合計760億ガロンの水を節約したという。

■世界中で新しい再生可能容量を追加

Apple製品の製造と、充電および使用のための両方の電力は、同社の包括的なカーボンフットプリントの大部分を占めるという。

同社は、同社関連の事業全体でクリーン電力を使用することおよびカーボンニュートラルになることを世界中のサプライヤーに呼びかけており、これまでに同社の直接製造費支出先の95%に相当する320社以上のサプライヤーが変革を先導してきたという。

その結果、現在16.5ギガワットの再生可能エネルギーが稼働。これにより、昨年、サプライチェーン全体で2,550万メガワット時以上のクリーンエネルギーが生成され、1,850万トン以上の炭素排出を回避したとのことだ。

米国では、同社はミシガン州全体にわたるソーラープロジェクトのポートフォリオに投資しており、2024年後半に132メガワットのクリーンエネルギーを供給するべく建設が進められているという。

スペインでは、国際的な太陽光発電所開発プラットフォームであるib vogt社と協力して投資を実施しており、そのプロジェクトが2024年末までに稼働開始すると、105メガワットのソーラー電力が生成されるとしている。

また、インドでの企業活動の増加にも対応するため、大手の再生可能エネルギーデベロッパであるCleanMax社とのジョイントベンチャーにも乗り出し、合計で14.4メガワット規模になる6つの屋上ソーラープロジェクトのポートフォリオに投資。

増えた容量は現地のソリューションに提供され、インドにおけるAppleのオフィス、インド国内の2つの直営店およびその他の事業に電力を供給するとしている。

再生可能エネルギーに対する取り組みについては、2018年にChina Clean Energy Fundを通じて、中国で事業を行う12社のサプライヤーと再生可能エネルギー調達を結びつけるアプローチを採用。

現在、このファンドは目標を上回っており、中国の14の省で1ギガワット以上の新しい風力およびソーラープロジェクトに投資しているとのことだ。

総計で、これらのプロジェクトは毎年2,400ギガワット時以上の再生可能エネルギーを供給する見込みで、これは中国の250万人分以上の住宅電力消費に相当するという。

■自然に根ざしたソリューションを通じて水のレジリエンスを高める

同社は、生態系を回復し、水に関するコミュニティのニーズに対処し、流域の気候レジリエンスを高めるため、製造サプライチェーン全体のコラボレーションと革新的な長期的パートナーシップを通じて、ビジネスを展開しているあらゆる場所で水の安全性を高めることを目指しているという。

水はその流域に大きな影響を与えるため、北および南カリフォルニア、アリゾナのコロラド川流域、インドのテランガーナ州およびマハーラーシュトラ州など、事業活動を行っている水ストレスの高い場所で、きれいな水を供給する取り組みを実施。

再生可能エネルギー調達のための同社のアプローチをモデルに、流域全体に水の利便と節約をもたらすための革新的な戦略と長期的な契約を追求。2023年以降、水ストレスの高い流域できれいな水を供給するために800万ドル以上を費やしているとのことだ。

今回発表したプロジェクトでは、今後20年以上にわたって、合わせて69億ガロンの水の利便をもたらすと見込まれているという。

北カリフォルニアでは、Appleはサクラメント川・フェザー川・ビュートクリークが合流する750エーカーの氾濫原の自然機能を回復するため、River Partners社と協力。この川の合流地点は、太平洋へと向かう地元産マスノスケに重要な休息場所を提供しているという。

このエリアを回復させるため、土地固有の植物を何十万本も植えたり、広大な昔ながらの氾濫原を再接続したりして、気候変動による洪水に対するこの地域および下流域コミュニティのレジリエンスを高めたとのことだ。

同社の投資により、地所での水需要を大幅に削減し、地下帯水層に水を供給する健全な洪水パターンを促すことにより、20年以上にわたって50億ガロン近くのきれいな水を活用する見通しだという。

北カリフォルニアのサクラメント川・フェザー川・ビュートクリークが合流する氾濫原の自然機能を回復するため、River Partners社と協力

同社のメサ・データセンターがあるグレーターフェニックスエリアでは、Salt River Projectと協力して、深刻な山火事のリスクにさらされている約3万エーカーの森林保護に取り組んでいるという。

同プロジェクトでは、10年計画でコロラド川流域の森で戦略的な間伐を行い、山火事による壊滅的被害から流域を守り、上流の貯水池が地域社会を支え続けられるようにするとしている。

同社の投資は、このエリアに20億ガロン近くの水の利便をもたらす見込みとのことだ。

アリゾナのコロラド川流域の森で大木を吊り上げているクレーン/間伐されていないエリアと間伐されたエリアを含む森林の空中写真