ネットオンは、「採用係長」の登録ユーザーである中小企業の人事・採用担当者を対象に、賃上げに関するアンケート調査を実施し、その結果を公表した。
■58.5%の事業所が賃上げを「実施する」と回答
全事業所を対象に、2024年度の賃上げ予定について聞いたところ、58.5%が「実施する予定」と回答し、賃上げを実施する事業所が6割に迫る結果に。
前回調査(2023年3月実施)との比較では、「実施する予定」の事業所が3.9ポイント増加した。
■過半数が「正規雇用・非正規雇用の両方」を賃上げ
続いて、賃上げを実施する雇用形態について聞いたところ、「正規雇用・非正規雇用の両方」と回答した事業所が56.1%を占めた。
「正規雇用のみ」と回答した事業所は30%を超えたが、前回調査の33.3%よりも減少し、雇用形態による格差の改善がみられた。
■賃上げ内容は「ベースアップ」が54.9%
賃上げ予定の内容については、半数以上の事業所が「ベースアップ」と回答。前回調査と比べて3.5ポイントの上昇した一方で、「定期昇給」は8.3ポイント減少する結果に
また、「ベースアップ」を実施する事業所の割合は、前々回調査(2022年3月)は39.4%、前回調査は51.4%、2024年は54.9%となり、3年連続で増加した。
■賃上げ率は「2~3%未満」が最多。約6割が1〜5%未満の範囲で実施
賃上げ率について質問したところ、最も多かったのは「2~3%未満」で、次に「1~2%未満」「4~5%未満」となり、全体の約6割が「1~5%未満」の範囲で賃上げを行う予定であることが明らかに。
■賃上げ理由上位は「従業員の生活を支えるため」「定着率向上のため」「人材採用のため」
賃上げ理由については「従業員の生活を支えるため」が42.6%で最多となり、2位は「従業員の定着率向上(引き留め)のため」、3位には「人材採用のため」が続き、従業員確保に向けて賃上げを実施する事業所も少なくないことが伺える。
一方、「業績が伸びた(回復した)ため」を賃上げ理由とした事業所は、16.9%に留まった。前回調査から1.7ポイント減少しているが、依然として業績に関わらず賃上げを実施する事業所が大半であることが分かった。
■実施しない理由1位は「現在の賃金が適切であるため」
賃上げを「実施しない予定」と回答した事業所に、その理由を聞いたところ、1位は「現在の賃金が適切であるため」で、62.3%となり前回調査から24.8ポイント上昇。
また、前回1位の「業績の向上(回復)が見込まれていないため」は、28.4%減少して2位に順位を下げた。
3位の「物価高や円安によるコスト増加のため」は、21.6ポイント減少、4位の「社会保険料の増加により会社の負担が増えるため」は、11.1ポイントの減少となり、賃上げを実施しない事業所については、前回調査時と異なる状況であることが伺える。
■原資の確保は「販売価格の値上げ」が最多
賃上げを「実施する予定」と回答した事業所に、賃上げの原資確保に向けて実施する(した)取り組みについて聞いたところ、1位は「販売価格の値上げ」となった。
「取り組みはないが賃上げに踏み切った」と回答した事業所が25.8%である点は、それ以外の75.2%は何らかの取り組みを行っていることを示している。
賃上げを実施する事業所の多くが価格転嫁や生産性の向上に努めており、今回の賃上げはその成果であることが分かった。
【調査概要】
調査期間:2024年2月22日~2024年3月7日
調査方法:インターネット調査
調査対象:「採用係長」利用事業所の人事・労務担当者
有効回答数:557
※%を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の場合は100%、複数回答の場合は合計値に一致しない場合がある。
<参考>ネットオン『賃上げに関するアンケート調査』