P&Gがビジネススクールを開講。グローバル企業の知見を活かした『シン・コミュニケーション力』を学ぶ

多様化する価値観や働き方、そしてデジタルコミュニケーションツールの進化により、近年はより柔軟で多角的なコミュニケーションが求められている。また、AIの台頭により、AIを活用するための指示出し(プロンプト)もビジネスパーソンにとって必要となりつつあるコミュニケーションスキルだ。

こうしたなか、昨年に日本法人として50周年を迎えたグローバル企業P&Gジャパン合同会社(以下、P&G)が、2024年5月にコミュニケーションに特化したビシネススクールを開講する。

30を超える国籍の社員が在籍し、20年以上前から在宅勤務を導入するなど、多様な文化や働き方を積極的に取り入れてきた同社は、「社員こそ最も重要な経営資産である」という考えのもと人材育成に注力してきた。その知見を社会へと還元するため、戦略的コミュニケーションが学べる『シン・コミュニケーション力習得プログラム』を無償提供するという。

今回の開講に際し、P&Gのヴィリアム・トルスカ社長は「P&Gにとって人材育成は重要なグローバル戦略。社員のキャリアを伸ばし、能力を高めることは長期的なビジネス構築の要素であり、日本の次世代リーダーを育てることが大切である。多様性を理解し、コミュニケーションスタイルを使い分けることは重要なスキル。『P&Gビジネススクール』を通じて、日本の未来に良い影響を与えたい」と語った。

本記事では、記者会見にて語られた『P&Gビジネススクール』の概要と、本スクールで学ぶメリットについて紹介していく。

P&Gジャパン合同会社 社長 ヴィリアム・トルスカ氏

人材の成長を促す、P&G流『シン・コミュニケーション力』

P&G人事部統括本部シニアディレクターの市川薫氏より、本スクールで学ぶことができる『シン・コミュニケーション力』について説明があった。

コミュニケーションとは、一方向ではない双方向による情報伝達で、発言(言語)と行動(非言語)により相手の行動を促す目的がある。P&Gでは、このコミュニケーションを戦略的に行うことで人材を成長させることを『シン・コミュニケーション力』と定義。具体的には以下の3つの要素から成り立つという。

1.コミュニケーションの目的を明確にすること
2.どのように伝えるか(HOW)だけではなく、伝える相手(WHO)を深く理解したうえで、伝えるべきこと(WHAT)構築すること
3.個々の能力を最大限に引き出すこと

P&Gジャパン 人事部統括本部シニアディレクター 市川薫氏

『シン・コミュニケーション力習得プログラム』では、上記3つの要素を軸に、人材育成と自己成長に欠かせない戦略的コミュニケーションを習得するための2コースを提供。

管理職向けコース:全2編

部下やチームの能力と成果を最大化するコミュニケーションを学びたい管理職向けのコース。まだ管理職でなくとも将来的に管理職になりたい人や、マネージメントについて学びたい人も参加できる。

◆前編「コーチング」
コミュニケーションで相手の能力を最大限に引き出す並走力を身につける。

◆後編「フィードバック」
コミュニケーションで「未来の行動変容」を生む成長促進力をものにする。

すべての方向けコース:全2編

自己成長し活躍するためのコミュニケーション・思考を学びたい人向けのコース。ビジネスの場に限らず、家族や友人、パートナーなどとの日常生活においても、円滑なコミュニケーションを図りたいと考える人にもおすすめ。

◆前編「成長思考」
コミュニケーションが変わる成長思考を育む。

◆後編「リーダーシップ思考」
コミュニケーションが導く自分らしいリーダーシップ思考を学ぶ。

誰もがリーダーシップを発揮できる人材育成システム

後半に行われたトークセッションでは、P&G Korea、P&Gジャパンの社長を務め上げ、現在グーグル合同会社の代表を務める奥山真司氏が登壇。奥山氏はP&Gの強みや在籍中に得た学びについて語った。

奥山氏はP&Gの競争力の源泉はどこにあるのかを問われると、「P&Gはイノベーションを通して新しい市場を創造し続けている。それを支えているのが人材。その人材を育成する力は属人的ではなく体系化されていて、誰もがリーダーシップを発揮できる人材育成システムがあるところが素晴らしい」と、人材育成の重要性について言及。

また、P&G在籍時代に培った知見・スキルで現在も活きているものについては「リーダーシップを学べた。リーダーシップは絶えることのないイノベーションを創造するために欠かせないスキルだ」と語った。

グーグル合同会社代表 奥山真司氏(左)と、P&Gジャパン トルスカ氏(右)によるトークセッション

奥山氏によると、人材育成において重要なことは、具体的な体験や事例を抽象化する能力だという。さらに、抽象化したものを再現できるスキルを持たせることが必要だとしている。これは、属人化せずに体系化してシェアし、成長を促すことができるリーダーシップが『シン・コミュニケーション力』の要になるというわけだ。

P&Gで働く人材は、このスキルを習得している人が多いため、どの業界に行ってもリーダーシップを発揮して活躍できると語る奥山氏。最後に「どのようにリーダーシップを発揮し、どのようにコミュニケーションからイノベーションを生んでいくべきなのか。概念を理解して(シン・コミュニケーション力の)型を習得し、日本がより元気になるきっかけになってくれたら嬉しい」と、開講に向けてエールを送った。

「どこの業界に行っても活躍できる」といわれるP&Gのコミュニケーション術を無料で学べる機会は貴重である。価値観や働き方が多様化する今、新時代を生き抜くための核となるコミュニケーション術を学んでみてはいかがだろうか。

『P&Gビジネススクール』第1期 応募概要

2024年5月を第1期とし、同年に第2期、2025年に第3期を予定。

■実施日時・定員

1.管理職向けコース(定員:30名)
前編「コーチング」2024年5月10日(金)13:30~16:30(予定)
後編「フィードバック」2024年7月3日(水)13:30~16:30(予定)
※管理職向けコースについては、応募時点で経営層や管理職でない方申し込み可

2.すべての方向けコース(定員:30名)
前編「成長思考」2024年5月9日(木)13:30~16:30(予定)
後編「リーダーシップ思考」2024年7月17日(水)13:30~16:30(予定)
※第2期以降の実施日時については、決定次第ウェブサイトにて告知。

■講師

「管理職向けコース」「すべての方向けコース」ともにP&G社員が担当。

■受講方法

形式:対面による実施
会場:P&Gジャパン東京オフィス(東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン)
参加費:無料
※会場までの交通費は参加者の自己負担。
※第2期は対面(場所:東京、会場未定)、第3期はオンラインで実施予定。

■応募資格

下記3点について、すべてを満たす方が応募可能。
1.申込み時点で18歳以上の方。学生も応募可。
2.原則、2日間行う講義の両日に出席が可能な方。
3.応募フォームにあるアンケートにご協力いただける方。

■応募方法・期間

ウェブサイトの応募ページより必要事項をご記入のうえ申し込み。

応募ページはこちら
第1期 応募期間:2024年2月7日(水)〜2024年3月15日(金)23:59
※応募者多数の場合は、多様な方々が幅広く参加できるよう参加者をP&Gにて決定。

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