JA共済連は、「春の農作業安全確認運動」に合わせ、全国の10代~50代を対象に農業に対する調査を実施し、結果を公表した。
■「地方暮らし」&「就農」ブームの兆し!学生の約3割が「就農」も選択肢として検討中
10代~50代男女10,000人のうち37.4%が「地方暮らし」を希望し、Z世代では45.1%と高い結果に。
また、農業未経験のZ世代の4人に1人にあたる26.9%が「農業をやってみたい」、就職意向のある学生の28.1%が「就農の可能性あり」と回答。
さらに、今後副業や兼業をする意向がある人のうち、半数近くの42.8%が「農業に携わる可能性あり」と回答する結果となった。
■3Kから“3Y”へ。農業は「やりがいがある」「やくにたつ」「ゆめがある」仕事と実感
農業に興味がある農業未経験者にとって、農業は「地域活性化に役立つ」「日々進歩している」などポジティブなイメージが強いことがわかった。
かつては3K(キツい・汚い・危険)と呼ばれた農業だが、農業に5年以上従事している人は、農業について「やりがいがある」「役に立つ」「夢がある」3Yな仕事と実感。仕事と生活の「ワークライフバランス」にも7割超(74.0%)が満足している。
■農業従事者の心配事2位は「農作業中のけが・事故」、7割が農作業中のヒヤリハットを経験
農業に5年以上従事している人が農業で心配なことは、1位は「地震・台風などの自然災害」で49.0%、2位は「農作業中のけが・事故」で45.0%となっている。また実際に、7割が農作業中の「ヒヤリハット経験あり」と回答。
農業未経験者が心配に感じることは「天候不良」「自然災害」「不作」で、「農作業中のけが・事故」は10位。農業従事者とギャップがあることがわかった。
■9割超が知らない…農作業中の死亡事故件数。約7割が「事故防止プログラム」の履修を希望
農作業中のけがや事故を防ぐプログラムについては、農業未経験者の72.5%、農業従事者の69.5%が「体験したい」と参加希望者が多数という結果に。
農作業事故の年間発生件数は、JA共済連の推計で約7万件に上ると予測されているという。農林水産省が発表した令和3年の農作業事故死亡者数は242人と、近年減少傾向にはあるものの、就業者10万人当たりの事故死亡者数は10.5人で、他産業に比べ依然として高い状態にある。
そこでJA共済連は、当事者の視点から農作業の事故を疑似体験できるVR映像コンテンツ「農作業事故体験VR」を開発。
全国のJAにおける研修会やイベント、農業関連団体による講習会などで、VR動画を活用した学習プログラムを展開し、農作業事故を「自分ごと化」してもらうことで、安全対策の重要性を伝えているという。
同社は、農作業事故の削減を通じ、持続可能な農業を目指していくとのことだ。
【調査概要】
実施時期:2023年12月21日~12月27日
調査方法:インターネット調査
調査対象:
調査(1)全国の10代~50代男女10,000人
調査(2)農業に関心がある農業未経験の10代~50代男女600人、現在農業に従事する20代~50代男女200人(農業従事5年未満100人、5年以上100人)
調査委託先:電通マクロミルインサイト
※本調査に記載の数値は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合あり
<参考>
JA共済連『農業に関する意識と実態調査』