帝国データバンクは、「結婚相談所」の倒産発生状況について調査・分析を実施し、結果を公表した。

現在、結婚相手を紹介する「結婚相談所」の倒産が相次いで発生しているという。同社の調査によると、2023年に発生した結婚相談所の倒産は、合計11件発生。年間の倒産件数として初めて10件を超え、過去最多を更新している。

また、休廃業・解散となった件数も11件で過去最多の水準となり、倒産と合わせて年間20を超える結婚相談所が市場からの退出を余儀なくされた。

「結婚相談所」の倒産・休業解散件数推移

結婚相談所では近年、少子高齢化や晩婚化など多様なライフスタイルの定着に加え、オンライン上で恋人や結婚相手を探す「マッチング(婚活)アプリ」の定着が大きな脅威となっているという。

明治安田生命が昨年10月に実施した調査では、1年以内に結婚した夫婦のうち4人に1人が「マッチングアプリ」を利用していたことも判明。

結婚相談所でもオンラインで面談の活用や婚活パーティーなどのリアルイベント企画を積極的に行っているものの、イベントの告知などで多額の広告費が必要に。

一方、結婚相談所が提供する基本的なサービス内容では他社との差別化がしづらく、入会金や登録料などで価格競争が発生しやすいことも、結婚相談所で倒産が相次いだ要因となっていると同社は考察している。

ただ、足元ではアプリ利用者の急増に伴い写真をめぐるトラブルやミスマッチングも多く、身元が保証された会員同士を結ぶ婚活の在り方が再度見直されるなど、結婚相談所を取り巻く環境にも変化の兆しがあるという。

アプリから流出した、結婚意欲が高い利用者のニーズをとらえた「出会いの機会」をどう提供できるかが、結婚相談所ビジネスの今後を左右すると同社はみている。

<参考>
帝国データバンク『「結婚相談所」の倒産発生状況』