ダイソンは、2024年1月に、ダイソン初の空気質調査「Global Connected Air Quality Data Project(グローバル コネクテッド エア クオリティ データ プロジェクト)」を実施し、結果を公表した。
同プロジェクトは、2022年から2023年にかけて250万台以上のダイソンの空気清浄機によって収集されたデータをもとに室内空気質の環境を分析したもの。
世界中の実際の家庭における空気質を、汚染物質をガスと粒子状物質に分け、日、月、季節、年単位で分析し、これまでにない粒度で可視化したという。
なお、同プロジェクトでは2種類の汚染物質、PM2.5と揮発性有機化合物(VOC)に焦点を当てている。
■屋内と屋外のPM2.5レベルの比較:屋内の空気の質が屋外よりも悪い傾向
<国別の年間平均>
上位10都市は中国、オーストリア、スペイン、シンガポール、オーストラリア、カナダ、ドイツ、ルーマニア、英国、フランス、マレーシアで。調査対象の31カ国のうち19カ国では、PM2.5レベルの年間平均が屋外より屋内の方が高いという結果に。
<国別の月間平均>
月別で見ると、調査対象のうち4カ国を除く27カ国で、屋内のPM2.5レベルが6カ月以上屋外超えに。その中には、11カ月間、屋内のPM2.5レベルが屋外を上回ったイギリスとドイツ、12カ月間毎月屋内が屋外を上回った中国、オーストラリア、フランス、オーストリア、カナダ、スペインが含まれる。
なお、インド、ノルウェー、ポーランド、フィンランドの家庭だけが、PM2.5レベルが屋外レベルを下回る結果に(2022年に6ヶ月未満)。また日本では、2022年の8カ月間、屋内のPM2.5レベルが屋外の月平均を上回った。
<都市別の年間平均>
都市レベルで見ると、ミラノの家庭の屋内のPM2.5の年間平均は屋外の2.5倍以上であり、これは調査したどの都市よりも高い数値だという。
ミラノに次いで、深圳、アムステルダム、ソウル、マドリード、メルボルン、ウィーン、シンガポール、ニューヨーク、東京が続き、調査した34都市のうち20都市で、PM2.5レベルの年間平均が屋外より屋内の方が高いという結果となった。
<都市別の月間平均>
また、月別では深圳、ニューヨーク、メルボルン、ミラノ、ローマ、ソウル、ウィーン、アムステルダムが1年間すべての月で屋内のPM2.5レベルが屋外より高いという結果となっている。
東京では2022年のうち10カ月間、屋内PM2.5のレベルが屋外を上回ったとのことだ。
■汚染レベルが最も高いシーズンは冬
冬が近づくにつれ、私たちは家の中で過ごす時間が長くなるが、ダイソンの空気清浄機のデータによると、2022年の冬は世界的に最も屋内の空気質が汚染された季節であるという結果が出たという。
寒くなると窓を閉め切って家を密閉し、ガスヒーターや薪ストーブ、ろうそくなどの燃焼式暖房を使うようになることが理由として考えられる。
日本では、2022年では2月が最も汚染された月となっており、世界的には1月が最も汚染された月で、次いで3月、12月、2月と続く。なお、最も汚染が少ない月は8月だったとのことだ。
■PM2.5の年間平均値
2022年の各国のPM2.5レベルの平均のランキングでは、インドと中国が上位2位を占め、続いてトルコ、アラブ首長国連邦、韓国、ルーマニア、メキシコ、イタリア、ポーランド、オーストリアが上位10位に入った。
そして今回調査したすべての国の屋内PM2.5の年間平均値は、WHOのPM2.5の長期環境基準(5μg/㎥)を上回り、その数値に対してインドでは11倍、中国では6倍、トルコとアラブ首長国連邦では4倍、韓国、ルーマニア、メキシコ、イタリアでは3倍以上となっていたとのことだ。
都市レベルでは、PM2.5の年間平均の数値の上位5都市はすべてアジアで、デリー、北京、上海、深圳、釜山、それに次いでイスタンブール、ドバイ、ソウル、メキシコシティ、ウィーンとなっている。
国レベルのデータと同様に、調査したすべての都市がPM2.5のWHO長期環境基準(5µg/㎥)を超えており、デリーではWHOのガイドラインを14倍近く、北京は6倍以上、上海は5倍以上、上回ったという。
また、大阪、ロサンゼルス、パリ、東京、アムステルダム、ミュンヘン、台北、ダブリンはすべて、PM2.5のWHO長期環境基準の2倍を記録したとのことだ。
<参考>
ダイソン『空気質調査「Global Connected Air Quality Data Project(グローバル コネクテッド エア クオリティ データ プロジェクト)』