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インフォマートは、物流業界で働く404名を対象に、2024年4月に適用される「時間外労働の上限規制」に伴って発生する「物流の2024年問題」に関する実態調査を実施し、その結果を公表した。
■7割以上の人が「物流の2024年問題」について「内容を理解している」
自動車運転業務における労働時間が規制されることで、国内全体の輸送能力が不足する「物流の2024年問題」について、「知っており内容を十分理解している」と回答した人は、運送業(総合物流+道路貨物輸送)で33.9%、倉庫業(総合物流+倉庫)で34.8%だった。
「知っており、ある程度の内容は理解している」まで含めると、業界全体で7割以上が「物流の2024年問題について内容を理解している」という結果となり、「物流の2024年問題」への関心度は業界全体的に高いことが分かった。
■「改善基準告示」については「内容をよく知らない」が過半数
「物流の2024年問題」の要因の1つ「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(通称:改善基準告示)」について、「知っており内容を十分理解している」と「知っており、ある程度の内容は理解している」を含めた数字は、運送業で47.2%、倉庫業で45.7%と、過半数の人が内容をよく知らないことが分かった。
「改善基準告示」により自動車運転者の拘束時間の上限や休息期間等の規制が強化されるが、その認知度は「物流の2024年問題」よりも低い結果に。
■運送業の課題1位は「労働時間の管理方法の見直し」、倉庫業は「運賃の値上げ・配送コストの増加」
次に、改善基準告示や残業上限規制によって生ずる「物流の2024年問題」において、運送業と倉庫業はそれぞれどのような課題を抱えているかを調査。
運送業での課題は「労働時間の管理方法の見直し」、「従業員の収入減少」、「従業員の離職」が上位を占めた。
倉庫業では、「運賃の値上げ・配送コストの増加」「荷役作業等、倉庫内作業負担の増加」「運送会社との交渉・契約の見直し」「燃料や資材高騰等のコストアップ」等が上位を占め、全般的にコスト意識が高いことが分かった。
■運送業での対策は「値上げ交渉」が1位、倉庫業では「荷役・荷待ち時間の見直し」が対策トップ
次に、「物流の2024年問題」に関連する対策について現在取り組んでいるものを調査。
運送業での対策は、「値上げ交渉」「荷役・荷待ち時間の交渉」「給与形態の見直し」「輸送方法そのものの見直しや変更(モーダルシフト)」の順に回答が多く集まった。
ドライバーの稼働時間が短縮され、2023年4月から時間外労働の割増賃金率が一律50%になったことなど、人件費の増加により物流コストが上がることへの対策に焦点が当たっていることが伺える。
一方で、倉庫業での対策は「荷役・荷待ち時間の見直し」「荷主や運送業者との料金交渉」「輸送方法そのものの見直しや変更(モーダルシフト)」が上位を占めた。
倉庫業は、基本的にドライバーを抱えるのではなく倉庫(場所)貸しによって稼ぎを得るビジネスモデルであるため、いかに物流を効率化できるかに焦点が当たっていることが分かった。また、物流企業のコスト増を見込んで、荷主や運送業者との料金交渉を始めている様子も伺える結果に。
■「帳票類の受け渡しは約半数が「すべて紙」 根強く残る紙文化
各帳票の受け渡し方法について聞くと、運送業では最も電子化が進んでいる請求書でも47.7%が「すべて紙」と回答し、納品書は52.9%と半数以上が「すべて紙」と回答。
倉庫業でも請求書で41.7%、納品書では43.9%が「すべて紙」と回答し、業界内で根強く紙文化が残っており、それが現場業務を圧迫していることが分かった。
■電子化による効果は多数。「現場業務の効率化」、「残業時間の削減」にも寄与
紙の書類を電子化している企業に対し、効果を聞きたところ、運送業、倉庫業ともに「あてはまるものはない」が約2割であることから、約8割の企業が電子化によるなんらかの効果を実感していることが分かった。
運送業では「現場業務の効率化」が32.9%で1位となり、次いで「セキュリティの強化」と「事務業務の効率化」が続いた。
倉庫業においても、「印紙や郵送代等のコスト削減」「事務業務の効率化」「残業時間の削減」と続き、業務が効率化されるだけでなく、印紙代や郵送代といったコスト削減にも貢献していることが分かった。
【調査概要】
調査対象:総合物流業または道路貨物運送業または倉庫業の従事
調査方法:インターネットリサーチ
調査内容:物流業界の2024年問題に関する実態調査
調査期間:2023年11月2日~11月9日
回答者:404名
<参考>インフォマート『物流業界の404名に聞いた2024年問題に関する実態調査』