紀州ほそ川グループである紀州ほそ川は、梅の有用成分に注目し研究・製品開発を続けており、今回梅の摂取が体臭、便臭に対しての改善効果が期待できることを発表した。

【試験方法】

梅の摂取
梅摂取は同意したボランティアを梅摂取A群、梅摂取B群の2群に分けて6週間実施。前半の3週間において、梅摂取A群は通常どおりの食生活で過ごし、梅摂取B群は同社梅抽出物製品を1日2回(昼食・夕食時)摂取。

後半の3週間は、梅摂取A群が梅抽出物製品を1日2回摂取し、梅摂取B群は梅抽出物製品の摂取をやめ、通常どおりの食生活で過ごしたという。

試験方法

【体臭分析】

体臭分析サンプルの採取は、試験スタート時は全員、梅抽出物製品摂取時は摂取開始時から1週間ごとに行い、梅抽出物製品未摂取時は、未摂取開始時とそれから3週間後に採取(計5回)。体臭の採取には揮発性物質吸着材(Monotrap:GLサイエンス社)を用いて、次の2通りの方法で実施した。

採取日に、うなじに吸着材を6時間貼り付ける(皮膚ガス分析)とともに、試験用に準備したTシャツを6時間着用後(Tシャツ体臭)、Tシャツを吸着材とともに捕集バックに入れ、体臭を吸着。吸着した体臭を吸着材から抽出し、GC-MSにより成分を分析。

■うなじおよびTシャツからの体臭成分の分析結果の一例
0、3、6週目のうなじおよびTシャツからの体臭成分をGC-MSで分析

うなじおよびTシャツからの体臭成分の分析結果の一例

■体臭試験結果
梅摂取により半数が体臭寄与成分(Octanalと2-Ethyl-1-hexanol)の減少が見られた。

【便臭分析】

便サンプルは実験開始時とその後3週間ごとに便採取キットも用いて実施(計3回)。便臭は採取した便をスクリュー瓶に取り、蒸留水を1mL加えてのち、スクリュー瓶にMonotrapをセットし、60℃で3時間静置し、においを吸着。捕集剤に吸着したにおい成分を抽出し、GC-MSにより分析した。

■便臭成分の分析結果(インドール量)の一例

■便臭試験結果
2/3の人に梅摂取によるインドールの減少が見られた。

【まとめ】

体臭への影響について解析した結果、Tシャツ体臭において、数種の体臭成分が梅摂取により減少する傾向にあることがわかった。なお同社は、うなじから採取した皮膚ガスについては現在詳細な分析を進めているという。

一方、便臭についても便臭の原因物質が梅摂取により減少し、梅摂取をやめると増加する傾向がみられた。これらの結果により、梅の摂取は体臭・便臭に対して改善効果を示すことが期待できると考察している。

さらに体臭・便臭の変化には腸内細菌叢の変化が関与しているといわれていることから、同社は採取した便を用いて腸内細菌叢の変化について、更なる研究を進めていくとのことだ。