清水建設は、エスシー・マシーナリとIHI運搬機械とともに共同で開発を進めてきた陸上風車建設用移動式タワークレーン「S-Movable Towercrane」が完成したことを発表した。
さらに3社は現在、広島県呉市のジャパンマリンユナイテッド呉事業所新宮地区において、自走式多軸台車(ドーリー)を活用したクレーン移設試験など、2024年6月に予定する実工事への適用に向けた準備を進めているとのことだ。
「S-Movable Towercrane」は、十字型の架台の上で自立する陸上風車建設用の移動式タワークレーンで、風車の建設後、クライミングダウンを行い架台の脚部を取り外すだけで、移動用の自走式多軸台車に搭載することができるという。
クレーン部材の解体を架台の脚部だけに留めて次の建設ヤードへ短期間で移設できるため、サイクル工程を5日程度短縮可能とのことだ。
作業性能は、最大揚程152メートル、定格荷重145トンで、5~6メガワットクラスの大型陸上風車の建設に対応可能。
再生可能エネルギー由来の電源として風力発電施設の建設需要が高まる中、事業性の観点から陸上風力発電施設の大規模化が進み、陸上風車の単基出力も増大傾向にあるという。
そのため、今後高さ120メートル超・5~6メガワットクラスの大型風車の市場投入が予想されるが、現行の陸上風車建設用クレーン設備で対応できるのは、高さ100メートル・4メガワットクラスの中型風車まで。
そこで3社は、陸上風車の高層化・大型化に対応できるクレーン設備として「S-Movable Towercrane」の開発・製作に着手したとのことだ。
■「S-Movable Towercrane」諸元
最大作業半径:46メートル
定格荷重:145トン(作業半径12.5メートル)
揚程:152メートル
電気容量:600キロボルトアンペア