中小企業の半数以上が冬季賞与を支給 うち約4割が昨年より増額 「年収の壁・支援強化パッケージ」を知らない事業所は6割超

ネットオン neton

採用業務クラウド「採用係長」を提供するネットオンは、「採用係長」の登録ユーザーである中小企業の人事・採用担当者を対象に、冬季賞与の支給に関するアンケート調査を実施し、その結果を公表した。

中小企業の冬季賞与の支給に関する実態調査

■冬季賞与を「支給する」企業53.9%

同調査で、冬季賞与を支給するか聞いたところ、53.9%が「支給する」と回答。昨年冬季の61.5%より7.6ポイント減少することが明らかになった。

冬季賞与を支給するか

■約4割が昨年冬季より「増額する」と回答

前問で「支給する」と回答した153の事業所へ、昨年の賞与支給額から変動はあるか聞いたところ、「変わらない」が最も多く約半数を占める49.7%という結果に。

また、「増額予定」と回答した事業所は39.9%で、昨年の25.2%よりも14.9ポイント増加。

昨年の賞与支給額から変動はあるか

■増額理由の1位は「従業員の意欲向上のため」

前問で「増額予定」と回答した61の事業所にその理由を聞くと、最も多かった回答は「従業員の意欲向上のため」で70.5%。次いで「業績が好調のため」が50.8%、「物価高騰による生活費増加に対応するため」が42.6%と続いた。

冬季賞与の増額理由

■減額理由は「業績の向上(回復)が見込まれていないため」が1位

昨年の賞与支給額から「減額予定」と回答した16の事業所にその理由を聞いたところ、1位は「業績の向上(回復)が見込まれていないため」で68.8%、2位は「物価高騰や円安の影響」で50.0%という結果に。

1位、2位の回答を選択した事業所の割合は、いずれも昨年より増加。特に「物価高騰や円安の影響」は、昨年の31.3%より18.7ポイント増加しており、減額した事業所の半数が物価高騰の影響を受けていることが明らかになった。

冬季賞与の減額理由

■支給額の最多は、基本給の「1カ月未満」

冬季賞与を「支給する」と回答した153の事業所に対し、支給額(基本給換算〇カ月)について聞いたところ、「1カ月未満」が最も多く28.1%、僅差で「1カ月以上1.5カ月未満」が27.5%と続いた。

また、賞与を「支給する」事業所の56.9%は、1カ月以上2.5カ月未満での支給を予定しており、2.5カ月以上支給する事業所は10.4%という結果に(「その他」「未定」を除く)。

冬季賞与の支給額

■60.9%が「年収の壁・支援強化パッケージ」を「知らない」

同調査では、2023年10月から開始した、年収の壁(106万・130万円)による働き控え対策への政府の施策「年収の壁・支援強化パッケージ」についても質問した。社会保険への加入による手取り収入の減少や年収増によって配偶者の扶養から外れることを回避するために、企業への助成金支給および被扶養者認定の円滑化が行われているという。

「年収の壁・支援強化パッケージ」を知っているか聞いたところ、「知らない」が61.6%と過半数を占める結果に。中小企業の人手確保を支援する施策でありながら、十分に認知されていない現状が明らかになった。

「年収の壁・支援強化パッケージ」を知っているか

■3割超が年収の壁を意識せずに働ける環境づくりに「取り組んでいる」

「年収の壁・支援強化パッケージ」について、同社が説明をしたうえで、今後の活用予定について聞いたところ、61.6%が「取り組む予定がない」と回答。

一方、「すでに取り組んでいる」事業所は7.0%で、「取り組む予定」がある事業所を含めると38.3%という結果に。

「年収の壁・支援強化パッケージ」の今後の活用予定

■賞与支給に関する意見・課題は、「原価が上がり支給できない」「多く支給しても税金が高い」「制度の改正・改善が必要」など

賞与支給についての課題や意見を自由回答で求めたところ、業績に関する課題や現行の制度についての意見などの回答があった。

回答は以下の通り。なお、括弧内はそれぞれ業種/従業員規模/所在地を示している。

<賞与支給についての課題や意見(一部抜粋)>
●経営状況が厳しい
・物価上昇で原価が上がり支給できなくなった(飲食/~4名/高知県)
・コロナ禍以降思うように売り上げが回復しないため出したくても出せない(飲食/10~19名/静岡県)

●給与・賞与額をアップしたい
・もう少し支給額を上げたい(運輸/~4名/静岡県)
・もう少し賞与額を増やしたい(介護・福祉/5~9名/東京都)
・売上を上げて従業員の給料も上げられるようにしたい(飲食/30~49名/京都府)

●現行の制度に対する意見
・「年収の壁・支援強化パッケージ」は事業所の負担を増やすと思う(介護・福祉/10~19名/茨城県)
・パート労働者は賞与を出すとその分勤務期間を減らすことになるため、評価がしづらい(医療/~4名/神奈川県)
・今の介護報酬制度では職員が満足できる給与・賞与は支給できない(介護・福祉/~4名/宮城県)
・ボーナスを多めに支給しても、賞与に対する税金が高すぎる(建築・不動産/10~19名/東京都)

【調査概要】
調査対象:「採用係長」利用事業所の人事・労務担当者
有効回答数:284
調査期間:11月2日~24日
調査方法:インターネット調査

<参考>
ネットオン「<2023年>中小企業の冬季賞与支給に関する調査を実施しました」

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