食品の値上げラッシュは「当面収束」か 2024年4月までの食品値上げは1596品目 2023年比で8割減の水準に

帝国データバンクは、食品メーカー主要195社における価格改定動向について調査を実施し、結果を公表した。

■2023年12月は677品目、5カ月ぶりに前年同月比増。23年累計は3万2395品目

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした12月の飲食料品値上げは677品目となった。

単月の値上げ品目数としては2023年7月以来5カ月ぶりに前年同月を上回るものの、2000品目を超える値上げが常態化していた2023年中旬までの推移に比べると大幅に少なく、年内で2番目に少ない水準となったとのことだ。

2023年通年の値上げ品目数は累計で3万2395品目、1回当たりの値上げ率平均は15%となり、22年の水準(2万5768品目・同14%)を上回る記録的な値上げラッシュの1年となっている。

ただ、23年中旬にかけて段階的な価格転嫁=値上げが浸透し採算性の改善が進んだほか、一部食品では値上げ後に販売数量が減少するといった消費者の「値上げ疲れ」による影響も加わったことで値上げの勢いが夏以降に鈍化し、当初想定された年間3万5000品目は下回る結果に。

月別値上げ品目数の推移

一方、11月末までに判明した2024年の値上げは、オリーブオイルやゴマ製品など原材料、だし製品やケチャップなど調味料、冷凍食品などを中心に累計1596品目となった。

単月で最も多い2月は1091品目と、23年10月以来4カ月ぶりに1000品目を上回るものの、いずれの月も23年同月を大幅に下回っている。

22年11月末時点で判明した翌年(23年)の値上げ予定品目数は、サバ缶やツナ缶といった魚肉製品、冷凍食品など加工食品を中心に6785品目に上ったのに対し、24年の値上げ予定品目数は8割減の水準に。

値上げペースは総じて大幅な減速傾向をみせており、24年通年の値上げ品目数は最大で1万品目前後の水準が予想されている。食用油の一斉値上げなどから始まった、約2年にわたる食品の値上げラッシュは「当面収束する」とみられるとのことだ。

11月時点の「翌年値上げ予定」品目数

■12月の値上げ、乳製品は年内3番目の多さ。バター・生クリーム製品など167品目

2023年12月の値上げは、ソース製品など「調味料」(505品目)が全食品分野で最も多くなった。

「乳製品」(167品目)は、乳価改定の影響を受けたバターや生クリーム製品の値上げが中心で、23年としては4月、8月に次ぐ3番目の多さとなっている。

また「加工食品」は単月としては1年ぶりに、「酒類・飲料」は1年10カ月ぶりに、対象となる値上げ品目がそれぞれゼロとなった。

食品分野の値上げ品目数

■2024年の値上げは年間1万品目前後を予想。4月以降に注視必要

2024年の食品値上げは11月末時点で1596品目となり、22年同月時点の翌年予定数・6785品目と比べて8割減のペースで推移。

実質賃金の減少などを背景に、値上げ後に販売数量が低下する動きやPB品など廉価品への購買意欲が高まるなど消費者側の物価高に対する拒否感も足元で鮮明となっているとのことだ。

物流費の上昇など引き続き値上げ圧力もあり、2月には1000品目を超えるものの、大規模な値上げラッシュは24年春まで概ね「収束」傾向で推移するとみられる。

一方で、1ドル150円前後で推移する円安水準の長期化や原油高を背景に、紙パックや食品トレー、包装フィルムなどが今冬以降に順次値上がりする見通しで、飲食料品への価格転嫁に大きな影響を及ぼす可能性があるという。

同社は、人手不足に伴う賃上げなどで人件費も本格的な上昇が見込まれ、24年4月以降に断続的な値上げラッシュが発生する可能性があり、動向への注視が必要だとしている。

実施ベースでの値上げ品目数

<参考>
帝国データバンク『「食品主要195社」価格改定動向調査

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