物流・運送業界の2024年問題、7割がトラックドライバーの労働時間規制を認知 労働時間の正しい集計に3割の企業が不安あり

クラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供しているjinjerは、物流・運送業界に携わる企業の人事担当者445名を対象に「物流・運送業界における勤怠管理」に関する実態調査を実施し、結果を公表した。

「物流・運送業界における勤怠管理」に関する実態調査を実施

【調査結果】

2024年4月から施行される物流・運送業界(トラックドライバー)の労働時間規制に関して「70%強」が内容を詳しく把握できていることから、「上限規制」に関する「認知度は高い傾向」にあり。

「2024年から施行される時間外労働の上限規制の把握状況」について質問したところ、「詳しく知っている」「聞いたことがあり、なんとなく内容も知っている」と回答した人のは合計76.7%で、今回の法改正について把握している企業が多いという結果に。

一方で「聞いたことがあるが、内容はほとんど知らない」は16.2%、「聞いたことがない」は7.2%と、法改正について把握していない層が30%弱存在することがわかった。

「2024年から施行される時間外労働の上限規制の把握状況

トラックドライバーの労働時間を正しく集計できていると思う企業は30%以下。40%強は「一部不安がある」「これから整備を検討」、20%は「これからも取り組む予定がない」という結果に。

「時間外労働の上限規制に対する対応状況」について質問したところ、「体制整備に取り組んでおり、労働時間を正確に把握できていると感じる」と回答した企業は30%を下回った。

また「体制整備に取り組んでいるが、労働時間を正確に把握できているか一部不安がある」「まだ取り組んでいないが、これから整備を検討している」と回答した企業は合わせて約40%強となり、物流・運送業界においては、労働時間の上限規制適用に対する体制整備がまだまだ進んでいない現状がうかがえる。

時間外労働の上限規制に対する対応状況

「2024年4月までに労働時間を正しく把握する体制へ整備する」と回答した企業は30%以下。

前問で「まだ取り組んでいないが、これから整備を検討している」と回答した企業を対象に、正しく労働時間を集計出来る体制に向けた、取り組み開始予定時期と完了予定時期を質問。

その結果、「2024年4月までには取り組みを始めたいが、完了は2024年4月以降になりそう」が34.6%、「2024年4月以降から取り組みを開始する想定である」が36.5%と、70%以上の企業が上限規制適用後に労働時間を正しく把握する体制を整備しようとしていることがわかった。

、正しく労働時間を集計出来る体制に向けた、取り組み開始予定時期と完了予定時期

タイムカードや日報によって管理している企業の「50%強」が、正しい労働時間の管理体制に対して「不安を感じている」と回答。

「現在、どのような方法で従業員の労働時間を集計しているか?」という質問に対し、「タイムカードやExcelによる集計」29.9%、「日報等による従業員の自己申告」23.4%と、全体の半数以上にあたる53.3%が日報やタイムカードで勤怠管理をおこなっている現状が判明。

また、「タイムカードやExcelによる集計」「日報等による従業員の自己申告」と答えた企業に、「従業員の労働時間を正確に把握することが出来ていると感じるか?」と質問したところ、「出来ているが、一部不安がある」が56.1%、「出来ていないと感じる」が22.8%と、合わせて80%弱が正確な勤怠管理に「不安を感じている」という回答する結果に。

【左】どのような方法で従業員の労働時間を集計しているか
【右】従業員の労働時間を正確に把握することが出来ていると感じるか

タイムカード・日報で勤怠管理をしている企業の「60%強」が、勤怠管理システムに関心を持っており、その過半数が「サービス型(SaaS・クラウド)」の導入を検討している。

「2024年からの労働時間の上限規制に向けて、勤怠管理システムへの移行を考えているか?」という質問に対し、「考えており、既に取り組んでいる」が8.7%に留まり、「移行を検討している」「取り組むかどうか検討している」は合わせて64.2%という結果となった。

一方で「取り組む予定はない」と答えた企業については、全体の約30%弱存在することもわかった。

また、「どのような勤怠管理システムの導入を考えているか?」という質問をした結果、「サービス型(SaaS、クラウド)」が46.7%と最も多く、次いで「オリジナル開発」29.9%、「パッケージ型(オンプレミス)」19.7%という回答が得られたとのことだ。

【左】勤怠管理システムへの移行を考えているか
【右】どのような勤怠管理システムの導入を考えているか

物流・運送業界の人事担当者が思う、勤怠管理システムを導入する際の課題TOP3は「新たにコストが発生すること」「推進できる人材がいないこと」「技術的なハードルが高いこと」。

また、「建設業界における勤怠管理システムの導入について”阻害となり得る”と思う要因は何か」という質問をしたところ、最も多かった回答としては「新たにコストが発生すること」で50.0%と、コストに対する課題意識が強いことが判明。

次いで「推進できる人材がいないこと」23.5%、「技術的なハードルが高いこと」19.8%と、コストの他にも、人的リソースやノウハウに関する課題意識がある結果となった。

建設業界における勤怠管理システムの導入について”阻害となり得る”と思う要因

【調査概要】
調査概要:「物流・運送業界における勤怠管理」に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年10月30日〜同年11月6日
調査対象:運送・輸送業に携わる企業の人事担当者445名

<参考>
jinjer株式会社「物流・運送業界における勤怠管理」に関する実態調査

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