特定非営利活動法人多様な学びプロジェクトは、声が届きづらい不登校当事者の実態とニーズを把握するため、「不登校やさみだれ登校の子ども」「保護者」「不登校経験者」をそれぞれ対象とする3件の実態・ニーズ調査を実施し、結果を公表した。
以下、調査結果の一部の項目を抜粋して紹介する。
■不登校になったきっかけ
「子どもが一番最初に学校を休むようになった(休みがちになった)きっかけは何だと考えるか。」という設問(複数回答)に対して、保護者が回答した不登校のきっかけは「先生との関係(先生と合わなかった、先生が怖かったなど」が最多で261人となった。
第2位は「学校システムの問題(価値観が古い、時代に合わない、風土に合わないなど)」で、回答者数は204人となっている。
■子どもへの対応や将来への悩み/適切な支援先につながっているか
「現在子どもへの対応または子どもの将来についてどのくらい悩んでいるか?」の設問では、「すごく悩んでいる」と「悩んでいる」、「まあまあ悩んでいる」を合わせると86%(501人)に達する結果に。
また、「子ども本人にとって適切な居場所(学校含む)に出会っていると思うか?」という設問には「そう思わない」、「あまりそう思わない」の合計が46%になり、「すごくそう思う」、「まあまあそう思う」の合計33%を上回った。
■保護者が行政に望む支援
「行政に望むもの」という設問では、「フリースクールなど学校以外の場が無料または利用料減免」と「フリースクールなど学校以外の場に通った場合の家庭への金銭的支援」が上位2位を占め、以下「学校が変わってほしい」「学校教員への研修」と続いた。
■施策と当事者ニーズとのギャップ
「教育支援センター(適応指導教室)」の利用状況に関する設問では「利用して助けになった/なっている」の回答が19.1%となった一方で、「利用できるところはあるが利用していない」、「利用したが助けにならなかった」の合計は58.0%にのぼった。
同様に、「教育相談(行政)」の利用状況については「利用して助けになった/なっている」の回答は18.9%となった一方で、「利用できるところはあるが利用していない」、「利用したが助けにならなかった」の合計は54.8%という結果に。
また、「スクールカウンセラー」の利用状況については「利用して助けになった/なっている」の回答は31.5%となったが、「利用できるところはあるが利用していない」、「利用したが助けにならなかった」の合計は59.1%にのぼっている。
施設や窓口、専門職の対応に地域や個人の差があり、施策と当事者ニーズとのギャップも生じていることが明らかとなった。
【調査概要】
調査タイトル:「不登校の子を育てる保護者のニーズ調査」
調査期間:2023年10月6日~12月31日
※速報値は10月13日時点のデータを元に集計
調査対象:さみだれ登校や不登校のこどもを育てている保護者/元保護者
調査方法:インターネット調査
<参考>
特定非営利活動法人多様な学びプロジェクト『不登校のこどもと保護者の実態とニーズ調査』