自動運転トラック技術企業であるTuSimple Holdings(以下、TuSimple)の日本支社 TuSimple JAPANは、2023年1月から開始した東名・新東名高速道路での自動運転トラックでの走行テストにおいて、日本初の東京名古屋間のレベル4相当での自動運転トラックの実証実験に成功したと発表した。
今回の実証実験では、東名・新東名高速道路の厚木南IC~豊田JCT間で、累計41,605kmにおよぶ走行テストを実施。昼・夜間時に加えて、渋滞や雨天など様々な状況下でおこない、片道平均3時間30分ほどで走破したという。
また、厚木南IC~豊田JCT間のおよそ270kmの自動運転走行映像も公開した。実験の舞台に東名・新東名高速を選んだ理由として、TuSimple JAPANのNan Wu代表取締役は、「2024年問題を想定し、日本の大都市を結ぶ物流の大動脈で現実に即した実証実験をおこなうことで、問題解決の糸口にしたい」と語った。
今回の実証実験の成功を受け、2024年からは、レベル4の完全無人自動運転トラック走行実証実験に向けた準備と、東京側の物流センターから名古屋側の物流センターまでの自動運転トラックの実証実験、東京・大阪間での自動運転トラック走行実証実験に着手する予定とのことだ。
その後、自動運転トラックの台数増加も行い、事業検証における実証実験を重ねたうえで、本格的な実運用開始も検討するとしている。同社はすでにアメリカで2019年から自動運転トラックのサービスを提供しているが、CEOのNan Wu氏は「アメリカと日本では道路のキャパシティや物流センターの規模や構造も異なる。また、日本に多いトンネルの通過時にGPS電波環境をいかに担保できるか。車間制御システムなどの既存インフラとどのように連携を図るか」と課題を挙げる。一方で、「物流事業者の問題やニーズを把握し応えることができればビジネスにつながっていく。我々は自動運転トラックの技術に自信を持っている」と今後の展開に意欲を見せた。
また、10月25日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において、TuSimple JAPANはブースを初出展。
今回の東名・新東名高速道路におけるレベル4相当での走行テストのほか、TuSimple社の自動運転トラック世界初の完全無人走行テストの様子、自動運転トラックビジネスに向けた応用例等の米国などの実績を動画で紹介している。
このほか会場では、TuSimpleが自社開発した、レベル2+~対応の自動運転ソリューションパッケージ『TS-Box』(TuSimple -一体型ドメインコントローラー検知ボックス)を日本初公開。
『TS-Box』は、乗用車および商用車双方の車両メーカー向けに、コストパフォーマンスの高い、自動運転ワンストップソリューションを提供することを目的に開発・設計されているとのことだ。
■東名・新東名高速道路 東京名古屋間におけるレベル4相当での走行テスト概要
実施期間:2023年1月~10月
対象区間:東名・新東名高速道路の厚木南IC~豊田JCT
自動運転レベル:レベル4相当
走行距離:41,605km(2023年10月20日時点)
■「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」出展概要
期間:2023年10月25日~11月5日
会場:東京ビッグサイト(東京都江東区)東7 ホール E7305
出展部門:第7類次世代モビリティ関連(自動運転車)
展示内容:
・日本での走行テストの動画(東名高速道路におけるレベル4相当での走行テスト)
・米国など日本以外における完全無人走行テストの動画(自動運転トラック世界初の完全無人走行テスト等)
・自動運転ソリューションパッケージ『TS-Box』の展示、『TS-Box』での日本高速道路実走行テスト動画
・自動運転トラックの実車展示
取材・文:小笠原大介