勘定奉行・奉行クラウドをはじめとする基幹業務システムを開発・販売するオービックビジネスコンサルタントは、企業に勤める経理担当者600名に対し、10月1日に施行されたインボイス制度による業務量や精神的な負担への影響について、実態調査を実施し、その結果を公表した。
■施行後、精神的ストレスが高まった経理担当は76.5%
同調査で、インボイス制度が施行されたことによって、経理業務の中でストレスを感じるようになったか聞いたところ、「とてもストレスを感じるようになった」が35.0%、「ややストレスを感じるようになった」が41.5%と、全体の76.5%がインボイス制度の施行によりストレスを感じていることが判明した。
また回答した経理担当者を年齢別で比較すると、「とてもストレスを感じる」割合は40代が43.3%と最も割合が高く、次いで30代が41.4%という結果に。
■施行後、初の月末が不安な経理担当は約8割
インボイス制度施行後、初めての月末で不安に感じる業務はあるか聞いたところ、「不安に感じる業務はない」と回答した割合は20.5%となり、79.5%の経理担当者がインボイス制度施行後初の月末に対して、不安を抱いていることが判明。
さらに、初の月末に向けて、最も不安に感じている業務に関しては、「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」が51.7%、次いで「発行する適格請求書の記載要件チェック」が45.8%、「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」が41.0%という結果に。
■施行を受けて、経理業務の効率化・自動化の必要性を感じた経理担当は66.8%
インボイス制度施行後、経理業務の効率性の向上と自動化の必要性を感じるか聞くと、「感じる」と回答した割合が26.5%、「やや感じる」と回答した割合が40.3%と、全体の66.8%の経理担当者が経理現場の改善が必要であると答えた。
また、インボイス制度施行を迎えるまでに、勤め先の経理業務において、準備が十分にできていたか質問したところ、「十分に準備ができた」が34.2%、「あまり準備ができていなかった」が55.5%、「全く準備ができていなかった」が10.3%と、65.8%の経理担当者がインボイス制度に対して十分な対策が取れていなかったことが判明。
■国のインボイス制度の説明に不満がある経理担当は76.5%
インボイス制度について政府の説明に不満を持っているか聞いたところ、「不満を持っている」が41.5%、「やや不満を持っている」が35.0%と、全体の約8割の経理担当者が、国のインボイス制度に対する説明について不満を持っていることが明らかになった。
さらに、回答した経理担当者を年齢別で比較すると、「不満を持っている」と回答した中で最も高いのは40代で47.0%、また「やや不満を持っている」と回答した中で最も高いのは20代で42.3%ということが判明。この結果から、現場責任者を任されるベテランや、経理業務に不慣れな若手が不満を持っていることがうかがえる。
また、政府によるインボイス制度の説明を理解できたか聞くと、「理解できていない」が13.7%、「あまり理解できていない」が34.2%と合計47.9%、約2人に1人の経理担当者が、未だにインボイス制度に対して理解できていないという実情も浮き彫りに。
■施行後、経理業務の不満1位「複雑な業務の増加」、2位「業務時間の増加」、3位「社内の周知不足」
インボイス制度施行後、経理業務で不満に思うことを聞いたところ、1位が「複雑な業務の増加」で57.5%、2位が「業務時間の増加」で44.0%、3位が「(制度に関して)社内の周知不足」で35.8%という結果に。
■施行後、負担が増えた経理業務1位「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」
インボイス制度施行後、負担が増えた経理業務を聞くと、最も回答が多かった業務が「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」で50.8%、2位が「発行する適格請求書の記載要件チェック」で48.8%、3位が「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」で38.7%。
これらの結果は、インボイス制度施行後初の月末に向けて不安を感じる業務と同様の順位であり、これらの業務が実務レベルで負担になっていることから、不安にも繋がっていることがうかがえるとのことだ。
■6割以上の企業が制度に関する業務を相談・解決できる社内体制が整っていない
インボイス制度に関する業務について社内で相談・解決できる体制が整っているか聞いたところ、「整っている」が39.7%、「整っていない」が60.3%という結果に。
■来年1月から義務化される電子帳簿保存法に対して不安を抱える経理担当は75.8%
インボイス制度への準備や実際の対応を受け、来年1月から義務化される電子帳簿保存法に対して、経理業務において何か不安を抱えているか聞いたところ、「不安を感じない」と回答した割合は24.2%。
一方で、75.8%の経理担当者は、インボイス制度同様に不安を感じると回答。中でも最も不安に感じる業務は「データの整理と保存要件」で49.8%、2位が「適切な電子帳簿保存システムの選定」が30.2%、3位が「経理担当者のトレーニングと教育」が28.8%という結果となった。
【調査概要】
調査タイトル:インボイス制度に関する調査
調査対象:全国の企業に勤める経理担当者(男女)
有効回答数:600サンプル
調査期間:10月10日~11日
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査機関:シグナルリサーチ
<参考>
オービックビジネスコンサルタント「OBC、インボイス制度施行の影響について経理担当者に意識調査を実施~インボイス制度施行後、初の月末が不安と回答した経理担当は79.5%~」