『Tokyo Tokyo』の実力。インバウンドが再開しつつある今、“東京ブランド”が事業者へと発揮するメリット

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個人の旅行が再開されてから1年が経過し、海外旅行も可能となった今、日本へのインバウンド需要は回復しつつある。日本政府観光局の発表によると、2023年9月の訪日外客数は218万人を超え、2019年同月比としては96.1%とほぼ同率まで回復。各都市ではこうした状況を契機と捉え、インバウンドの獲得を目指し、様々な工夫を凝らしながら魅力を発信している。

こうしたなか、東京都と東京観光財団が旗振り役となって国内外に“Tokyo”を印象づけるために推進しているのが、ブランディングアイコン『Tokyo Tokyo』だ。このアイコンは東京の都市としての特徴や魅力を端的に表現しており、国内外で幅広く展開されている。また、東京都だけでなく、民間事業者も東京発の商材やサービス等へ効果的に活用することができ、そのブランディングに寄与しつつ、東京都の都市ブランディングとの相乗効果も期待できるものとなっている。申請手続きも簡単で、大きな労力をかけずに幅広い用途に使うことが可能だ。

本記事では実際にアイコンがどのように事業者に活用されているのか事例を紐解き、“東京ブランド”を携えるメリットについて見ていきたい。

伝統と革新の交差。“東京ブランド”の象徴『Tokyo Tokyo』

東京の魅力を国内外にPRする『Tokyo Tokyo』アイコン

2つの異なるフォントからなるアイコンは、江戸から続く伝統と最先端の文化が共存した東京の特色を表している。墨の筆文字で書かれたTokyoは伝統を、ブルーのゴシック体で書かれたTokyoは未来へと広がる空をイメージ。新旧の共存を右上にあしらわれた“Old meets New”の文字で表現している。そして中央の落款(捺印)は、東京の観光名所である渋谷スクランブル交差点をイメージしたデザインだ。

このアイコンは行政だけではなく、旅行・観光、宿泊、おみやげ、食品・飲料、小売業など、さまざまな分野で活用されている。自社Webサイトや商品パッケージ、各種パンフレット、名刺、イベントでのPRなどさまざまだ。

利用登録をした事業者は『Tokyo Tokyoメンバーズ』としてWebサイトに掲載されるほか、ボールペンやメモ帳をはじめとしたノベルティグッズを申し込むことができるなど利用者特典も用意されている。

担当部署が語る、アイコンに込めた思いと展望

『Tokyo Tokyo』を展開するのは、東京都と東京の観光振興を担う団体である公益財団法人東京観光財団だ。『Tokyo Tokyo』アイコンは旅行地としての東京を印象付け、国内外から多くの旅行者を呼び込むためのブランディングの一環として生まれたそうだが、彼らはどのような思いでこの取り組みを推進しているのか。東京観光財団の担当部署にアイコンに込めた思いや今後の展望を伺った。

東京観光財団の担当部署メンバー

「『Tokyo Tokyo』アイコンを制作するにあたり、海外向けの調査を行ったところ、東京の魅力として評価されたのが『伝統文化と最先端カルチャーの共存』というものでした。江戸から続く400年の伝統が息づき、最先端のテクノロジーやモダンなカルチャーに代表される革新的要素が融合する街は世界的に見ても珍しいですよね。そんな東京のオリジナリティを表現すべく『Old meets New(伝統と革新が交差する街)』というメッセージをアイコンに込めました」

『Tokyo Tokyo』アイコンは、現在350以上の事業者が利用者として登録している。実際にアイコンを活用している事業者からはどのような反響が寄せられているのだろうか。

「一目で“東京”とわかるので親しみやすい、ブルーと白を基調にしたデザインがおしゃれ、シンプルで展開しやすいなど、デザインには多くの好評をいただいています。そして、“東京のおみやげ”として付加価値がついた、外国人観光客に安心して買ってもらえる、取引先への信頼性向上につながったといったお声のほか、使用料がかからず簡単に申請できる手軽さも評価いただいております」

これまでは、おみやげ商品を展開するメーカーや観光関連のWebサイトへの活用が多かったようだが、工夫次第でさまざまな活用が期待できる。東京観光財団は「自社製品やノベルティにアイコンを入れるのはもちろん、国内・国外で実施されるイベントなどのビジュアルにも使用できます。ぜひユニークな使い方を検討していただけると嬉しいです」と呼びかける。

アイコンのさまざまな活用例

では、アイコンの今後の展望については、どう考えているのだろうか。

「東京の観光に携わる方々が、東京の魅力に対する共通認識を持ち、東京一体が面となって、情報発信・プロモーションを推進していくことが大切だと考えています。世界各地に『Tokyo Tokyo』が広がり、誰もが知り得るようなブランドアイコンに育っていくことを目指し、今後も東京ブランドの発信に力を入れていく予定ですので、より多くの方々に東京ブランドの取組へご賛同・ご協力いただけると嬉しいですね」

アイコン活用のメリットと生まれる相乗効果|サンヨー食品株式会社

ここまでアイコンのメリットや生まれた背景を紹介してきたが、実際に活用している事業者は、どのようなメリットを感じているのか。ご当地麺を手軽に楽しめるサッポロ一番 旅麺シリーズ『浅草 ソース焼きそば』にアイコンを取り入れた、サンヨー食品株式会社に話を伺った。

マーケティングを担当する藤原 祐実氏は「“ご当地感”をアップさせたくアイコンを導入しました。全国に展開しておりますので、東京の魅力の発信にもつながると思っております」と導入に至った背景を語る。アイコンは無料で申請できることから“ぜひ活用しよう”と社内での決裁も早かったという。

サンヨー食品株式会社 マーケティング本部 藤原 祐実氏

また、利用申請はウェブ上で簡単に行えることから、利用申請の窓口である、東京ブランド「アイコン」管理事務局からの承認を得るまでもスムーズに進んだようだ。時間を割いたのは、どのようにアイコンを見せるかデザインの部分だと振り返る。

「アイコンはいくつかパターンがあるので、どれをどのように配置するか試行錯誤しました。パッケージの背景が黒いため、最終的に白地で視認性を高めたデザインにしています。他社事例を拝見するとブルーのアクセントが素敵だったので、弊社でも色付きのアイコンを採用しました。商品の『浅草』の文字も筆文字なので、アイコンの筆文字とも相性がよいと思っています」

サンヨー食品 旅麺シリーズの東京ご当地麺にアイコンを活用

アイコン導入後の反響も上々で、「インバウンド向けに期待できる」との理由から販路が拡大し、商品の卸し先が増えたようだ。定番商品のため新規開拓は難しいと感じていたが、アイコンを付けたことで既存商品であっても、リニューアルする意味合いを付与できるため、新たにアプローチの機会が生まれたという。

サンヨー食品では東京にあるラーメン店とのタイアップも展開しており、今後はそういった商品にもアイコンを取り入れることで相乗効果を狙っていきたいとしている。最後に、アイコン活用へのアドバイスや今後期待していることを伺った。

「弊社は商品パッケージにアイコンを使用しておりますが、日本らしさ、東京らしさを訴求したいときにアイコンがデザインのポイントになり、目に留まりやすいシーンもあるかもしれません。無料で申請できるので比較的低価格の商品にも使いやすく、イベントなどに用いると露出も高まって多くの人の目に触れていただけるのではないでしょうか。また、弊社の商品に限らずアイコンを付けている商品が多くなれば、コラボ展開や店頭に『Tokyo Tokyo』コーナーを設けるなど、“東京ブランド”の認知を加速させる新しい提案もできるのではないかと考えております。ぜひ多くの商品・業種で活用していただき、複数社が一体となった成長を期待したいです」

利用申請はオンラインで完結

『Tokyo Tokyo』アイコンはオンラインにて以下の4ステップで簡単に利用申請ができる。

①アイコン利用者登録
②アイコン利用許諾申請
③利用許諾書/データ受領
④アイコン利用開始

前もってアイコンデータをダウンロードできるため、商品・サービスとの相性を確認し、完成イメージを作成することも可能。審査結果については受付からおおよそ7〜10営業日で通知される。

アイコン利用申請・各種ガイドラインはこちらから

アイコンで東京の魅力をPR。インバウンドを盛り上げるチャンスに

アイコンにも表現されているとおり、東京では伝統と革新が様々なかたちで共存し、エリアによって趣の異なる街は訪れる者の目を楽しませている。

その後押しとなる『Tokyo Tokyo』アイコンは、国内・インバウンド需要にこれまで以上に応えられる可能性を秘めている。キャッチーで視認性の高いアイコンは、品質の高さや安心感を与えるとともに、事業や商品・サービスの認知を加速させることができるだろう。

東京発の事業や商品・サービスであるならば、そのブランド力向上のために効果的に活用してみてはいかがだろうか。商材の認知を加速させるとともに、インバウンドが再び盛り上がりを見せている状況のなか、新たなプロモーションの一手になりえるかもしれない。

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