ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、子どもの読書行動の実態や読書行動に影響する要因に関するデータをまとめ、公表した。
■約半数の子どもの読書時間が0分
同調査で、1日(学校がある日)にどれくらいの時間本を読むか聞いたところ、小学1年生から高校3年生の全体の49.0%が読書を「しない=0分」と回答。性別でみると、男子の方が学校段階別で上の学年に上がるほど0分の割合が多いという結果に。
■1日の平均読書時間は7年間で3分減少
1日(学校がある日)にどれくらいの時間本を読むかという設問に対する回答から、平均時間を算出したところ、全体の読書時間の平均は、2015年の18.2分から2022年の15.2分と、3.0分減少したことが明らかになった。
■家の蔵書数が多い子どもや本を読む大切さを伝えている保護者の子どもほど、1日の平均読書時間が長い
1日の平均読書時間と家の蔵書数の関連性について調べると、蔵書数が100冊以上だと平均読書時間が23.2分、30~100冊未満だと17.5分、30冊未満だと12.3分と、蔵書数が多い家庭の子どもほど、1日の平均読書時間が長いことが明らかになった。
また、1日の平均読書時間と、保護者が本や新聞を読むことの大切さを伝えていることの関連性を調べると、本や新聞を読むことの大切さを伝えられている子どもの平均読書時間は18.9分、伝えられていない子どもは11.6分という結果となった。
なお、本や新聞を読むことの大切さを伝えているかという問いについては保護者が回答している。
■小学校入学前の読み聞かせの効果は中学生まで長く継続
同調査で、小学1年生時点の保護者に対し小学校入学前の読み聞かせの日数を調べ、「週4日以上」・「週1~3日」・「週1日未満」に分類し、それぞれの小学1年生から中学2年生までの1日の平均読書時間を調べた。
その結果、「週4日以上」読み聞かせをしてもらった子どもが、どの学年に上がっても平均読書時間が長いことが明らかになった。さらにその効果は中学生まで残り、中学2年生時点での1日の平均読書時間は「週4日以上」が20.6分、「週1日未満」が11.3分と1.5倍以上の差が出る結果に。
■小学1年生時点で読書習慣を身につけている子どもは、その後も長い時間読書をする傾向がある
小学1年生時点の保護者調査で、1日の読書時間について尋ねた回答をもとに「0分」・「5~30分」・「1時間以上」に分類し、それぞれの小学1年生から中学2年生までの1日の平均読書時間を調べた。
その結果、小学1年生時点で1日に「1時間以上」読書をしていた子どもは、学年が上がっても「5~30分」・「1時間以上」の子どもに比べ平均読書時間が長いことがわかった。
■1日1時間以上読書をする子どもは、自分の理解・思考・表現の能力に対する評価が高い
続いて、1日の読書時間について、「0分」を「不読層」、「5~30分」を「中間層」、「1時間以上」を「多読層」と分類。そのうえで、「図や表を見て理解すること」・「論理的に考えること」・「長い文章を読んで理解すること」・「自分の考えを文章にまとめること」について、得意かどうかを尋ねると、いずれの場合も「多読層」の子どもの方が、得意と回答する割合が高い結果に。
■読書をしない子どもは、ニュースへの関心や自信、将来の目標などの肯定率が低い。
また、「社会の出来事やニュースに関心が高い」・「自分に自信がある」「将来の目標がはっきりしている」・「将来なりたい職業がある」について、それぞれどれくらいあてはまるか聞いたところ、いずれも「不読層」の子どもの割合が、「中間層」・「多読層」と比べ、低いことが明らかになった。
【調査概要】
調査テーマ:
・子どもの生活と学習に関する意識と実態(子ども調査)
・保護者の子育て・教育に関する意識と実態(保護者調査)
→同一の親子を対象に2015年から継続して追跡する縦断調査
調査時期:
2015~2022年、各年7~9月
調査方法:
調査依頼は各回とも郵送、回収は2015年郵送・WEB併用、2016~2020年郵送、2021年郵送・WEB併用、2022年WEB
調査対象:
各回の発送数・回収数・回収率は以下の通り
<参考>
ベネッセ教育総合研究所「子どもの読書行動の実態」