第一工業製薬は、睡眠に不満をもつ健常者に対する臨床試験において、カイコハナサナギタケ冬虫夏草摂取による睡眠改善効果を確認したと発表した。

同研究結果は、2023年10月6日発行の日本抗加齢医学会雑誌「アンチ・エイジング医学」に論文として掲載されたとのことだ。

臨床試験では、睡眠に不満をもつ健康な成人男女36名を対象に、2週間カイコハナサナギタケ冬虫夏草またはプラセボを摂取してもらい、無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー比較試験(※1)で睡眠の質の評価を実施したという。

主要評価項目はOSA睡眠調査票MA版(※2)、副次項目はセントマリー病院睡眠質問票(※3)と睡眠活動量計による測定。

摂取前後のスコアの変化量 改変版(OSA睡眠調査票MA版の評価結果)
因子Ⅱ(入眠と睡眠維持)改変版(OSA睡眠調査票MA版の評価結果)

カイコハナサナギタケ冬虫夏草を摂取することで、入眠と睡眠維持(因子Ⅱ)においてプラセボに対する統計学的有意な改善が見られ、起床時眠気(因子Ⅰ)も改善傾向に。また、副次評価項目のセントマリー病院睡眠質問票でも、カイコハナサナギタケ冬虫夏草による中途覚醒の統計学的有意な改善が示されたという。

これらの結果から、カイコハナサナギタケ冬虫夏草の摂取は寝つきや中途覚醒を改善し、睡眠の質を向上させることが確認できたとのことだ。

今後も、カイコハナサナギタケ冬虫夏草についてさらなる研究を進め、超高齢化社会が抱える社会課題の解決に努めていくとしている。

※1 無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー比較試験:ランダムに振り分けた2群の被験者に、医療従事者および被験者が食品の識別ができない状態で時期を分けて試験品、プラセボ品両方を摂取させる手法。1人の被験者が試験品、プラセボ品を摂取し、それぞれの摂取期間の評価結果を比較することで個人間のばらつきが低減される。

※2 OSA睡眠調査票MA版:16項目の睡眠に関する質問について4段階で回答させ起床時の睡眠感を評価するものであり、主観的な睡眠の質の評価に広く用いられている。今回の評価は因子Ⅰ(起床時眠気)、因子Ⅱ(入眠と睡眠維持)、因子Ⅲ(夢み)、因子Ⅳ(疲労回復)、因子Ⅴ(睡眠時間)の5つの因子にて行ったとのこと。

※3 セントマリー病院質問票:直前の24時間の睡眠について評価する自記式質問票で睡眠の質を評価する。睡眠深度、中途覚醒度、熟眠感、起床時の爽快感、睡眠の満足度、早期覚醒の有無、就眠困難度の7項目を評価した。