KDDI、KDDI総合研究所、住友電気工業、古河電気工業、およびOFS Laboratories, LLC(以下、OFS)は、標準光ファイバー径の光ファイバー伝送実験で世界最大となる伝送帯域幅115.2THz(従来のC帯に比べて約24倍)の超広帯域伝送実験に成功したと発表した(伝送容量484Tbps、伝送距離31km)。

同実験では、標準的な光ファイバーと同じ250μmの太さの高密度非結合12コア光ファイバーを用い、コア間クロストークの影響が大幅に低減されたO帯コヒーレントDWDM伝送技術を組み合わせることで、伝送帯域幅115.2THzの大容量伝送実験に成功したという。

今回の成果


6G時代では、IoT端末やモビリティサービスの普及により、現在よりもはるかに膨大で多様なデータがネットワークを流れることが想定されている。

ネットワークを支えるためには光ファイバー通信の容量をより拡大することが不可欠となるため、今回の成果は、6G時代のデータセンター間の大容量高速通信を支える技術となるとのことだ。

また、光ファイバー1本あたりの通信容量を大幅に拡大できることから、より少ないファイバ心線数で同じ通信容量を確保することができ、通常の管路や設備を省スペースで活用することが可能な技術として期待されるとしている。

なお、今回の成果は、2023年10月に開催された光通信技術に関する世界最大規模の国際学術会議ECOC2023(European Conference on Optical Communications)のポストデッドライン論文として報告されたとのことだ。

■各社の役割

・KDDI、KDDI総合研究所
大容量伝送を可能にする双方向O帯コヒーレントDWDM伝送技術の開発

双方向O帯コヒーレントDWDM伝送システムのイメージ図

・古河電工、OFS
光ファイバーの損失を広帯域にわたって1台で効率よく補償するO帯ビスマス添加光ファイバー増幅器の開発

O帯ビスマス添加光ファイバー増幅器(BDFA)の構造

・住友電工
ファイバ1本あたりの通信容量を大幅に向上させる高密度非結合12コア光ファイバーの開発

従来の光ファイバー(左)と同じ標準的な250μmのコーティング外径の中に12個のコアを高密度に配置した12コア光ファイバー(右)のイメージ