AI元年とも呼ばれる2023年。OpenAIが開発したChatGPT(GPT-4)の登場により、AIはより私たちの身近な存在となりつつある。株式会社Gunosyは2023年6月27日に「Gunosy AI(仮称)」を開発。8月から新設された新規事業開発室の室長である西尾健太郎さんに、GunosyがAI領域で手掛ける取り組みについて伺った。
GPT-4を利用し ニーズに合わせて適切に回答が可能に
Gunosy AI(仮称)は、LLM(大規模言語モデル)を活用したシステムです。同システムは人間が行うプロセスを模倣し、企業が保有するデータを基に適切な回答を生成します。このサービスはWebサービスとして直接導入可能で、LINEやSlackなどのAPIに対応したツールを通じて、他のプラットフォームへの導入も可能となっています。
文章や社内規程、サイトのコンテンツなど様々なデータを参照し、依頼内容に応じてカスタマイズされた応答を提供します。さらに、パーソナルアシスタントとしての機能も備えていて、ユーザーの要求に応じて情報を提供するだけでなく、具体的なタスクの実行や、旅行の計画立案レストランの予約、天気予報の提供など、幅広い領域で活用できます。
Gunosy AI(仮称)の特徴は、人の思考回路を意識したこと
Gunosy AI(仮称)の特徴は、DXを推進したい企業に対し、企業に特化した質問に答えられるGPTを導入できることです。通常のChatGPTは質問に対し、誤った回答をすることもありますが、Gunosy AI(仮称)では、事前に企業が持つ情報をGPTに渡すことで、その情報を基に回答を安定させることや、事前の情報で分からない事に対しては「分からない」と答えさせることができます。
また、人間のように中長期的に記憶できる仕組みを作ることができました。システムを使えば使うほど学習する仕組みになっており、対話の内容を長期的に覚えるものと短期的でよいものを振り分けています。人間も短期記憶で処理するものもあれば、知識として長期的に保存する事を自然と行っています。その知識があることで発言や人格形成にも影響が出ると思うので、人間の思考回路を意識して作成しました。
Gunosyは、主にBtoB向けのソリューションとして展開するための基礎技術としてのシステムで、LLM(大規模言語モデル)領域には以前より注目し、実験を繰り返し行っていました。動くシステムとしてGPTを社内ツールや自社事業に組み込むことは、ハードルが高いことを実感し、そこで出た課題やインサイトを基に作ったのが強みになっています。
▼回答イメージ
※上記では架空のホテル情報を用いていますが、ホテルや飲食店に限らず、各企業が保有する情報と連携することで、様々な回答をさせることも可能です。
早速各方面から反響が。様々な課題やニーズに応えていきたい
本システムの情報を6月に公開後、多くの会社から問い合わせがありました。
特に、社内の問い合わせを自動化する領域には手ごたえを感じています。 属人化している仕事は、担当している人が退職すると、替えがきかないため、ダメージが大きい課題になります。ドキュメントでまとまっているものの、結局人に聞くことが多くなってしまう課題を抱えている会社が多くありました。その課題に対して、ピンポイントに解決できると思っております。社内に蓄積されたノウハウを回答することができるので、管理部や総務部にニーズは多くあります。
また、ユーザーに商品をより高く推薦したいというニーズも多くありました。商品のラインナップが多くある会社では、お客さんに商品を推薦する際に、営業担当も品数が多く、何を推薦したらよいのか分かりづらいといった課題がありました。それぞれの会社が抱えている課題を解決できるようクオリティを高めていけたらと思います。
Gunosyが見据える先
AIテクノロジーは、クラウドやスマートフォンなど革新的な世の中を変えた技術に並ぶテクノロジーになると思っています。これまで解決できなかったことが解決できる転換点になり、特定の領域だけでなく、全産業に機会が開けたと思います。
Gunosy AI(仮称)では、社内のノウハウを使って生産性が上がることにトライしていきたいです。一つの会社にAIが1台、人と同じように働いている世界観を作りたいと思っています。そして、AIのことも育てながら、辞めない人材を育てていくことを最終的には目指していきたいです。