「インボイス制度を考えるフリーランスの会」は、企業の経理業務担当者に向けて、10月より開始されるインボイス制度についての意識調査を実施し、その結果を公表した。
■インボイス制度が施行されることで経理の仕事を離れたい人は3割を超える
同調査で、制度が施行され煩雑な業務が増えることによって経理の仕事を離れたいと思うか聞いたところ、「異動」もしくは「退職/転職」したいと考える経理担当者が33%にのぼった。
さらに、上記の結果を経理担当者人数によって分類すると、経理担当者の人数が多い方が「異動」もしくは「退職/転職」を希望する割合が強く出る結果に。特に「経理担当者の人数が10〜19人」の場合、44.2%と最も高くなった。
逆に、経理担当者が「1人」の場合、「異動」もしくは「退職/転職」を希望する割合は28.9%。中小企業の現場の約3割で、経理担当者がいなくなる可能性も明らかになった。
また、経理担当者の年代別の結果を見ると、「20代」の38.0%、「30代」の40.5%が「異動」もしくは「退職/転職」を希望していることが明らかになった。
最後に、従業員規模別の結果を見ると、「異動」もしくは「退職/転職」という回答が最も多かったのは「従業員1000人以上の規模」で47.4%の回答があった。
■インボイス制度を導入すべきではないと考える経理担当者が8割超
インボイス制度についてどう思うか聞いたところ、「将来的にも導入するべきでない」「導入時期は延期すべき」と回答した者をあわせると9割弱の88.2%となった。
また、「導入するべきではない」「延期すべき」と答えた最多の理由は、「事務負担が大きいから」で82.9%という結果に。
■取引先のフリーランス/小規模事業者へインボイス発行事業者になることを「特に何も通知・相談していない」が約4割
取引先のフリーランス/小規模事業者へインボイス発行事業者になることを依頼しているか聞くと、「特に何も通知・相談していない」が38.1%に及び、同業他社などの態度を含めて、制度への対応をどうすべきか決めかねている状況がうかがえる。
また、「経過措置がある間はこのまま取引を続ける予定」が10.4%、「経過措置の状況に合わせて、段階的に取引条件を変更していく予定」が8.5%、「免税事業者のままでいる場合は、値下げをお願いする予定」が7.6%、「これを機にフリーランス・小規模事業者との取引をやめる/徐々にやめていく予定」が5.2%と、経過措置が完全に終了する6年後を考えた場合、相当な取引環境の変化をもたらすことが懸念される。
■従業員(会社)の規模が小さいほど取引先に占めるフリーランス/小規模事業者の割合が高くなる傾向に
従業員の規模に対する、取引先のフリーランス/小規模事業者の割合を聞くと、小規模な事業者ほど、取引先にフリーランスや小規模事業者が占める割合が多い傾向があり、小規模事業者同士で、インボイスによる税負担を押し付け合わなければいけない構図が明らかになった。
■制度導入前の時点で困っていることは、業務負担の増大や複雑な制度の把握など
制度導入前の時点で困っていることを聞くと以下のような結果に。
【調査概要】
調査対象:経理専任・経理兼任・経営者兼経理などを含めて、経理実務に携わっている人
有効回答数:709件
調査期間:2022年12月26日~2023年8月2日
調査方法:Webアンケートツールを用いたオンライン調査
調査主体:インボイス制度を考えるフリーランスの会
<参考>
インボイス制度を考えるフリーランスの会「インボイス制度についての意識調査」