日本バナナ輸入組合は、赤坂ファミリークリニック院長・東京大学医学部附属病院医師の伊藤明子先生らの研究グループが行った臨床試験の結果を発表した。

試験の結果、朝バナナを摂取すると、非摂取群・夜バナナ摂取群と比較し、血糖スパイク発現率が有意に低い結果となり、血糖の急上昇が起きにくい可能性が確認できたとのことだ。また、同じく過去2週間の平均血糖(グリコアルブミン)の比較においても、朝バナナ摂取群において有意な低下が見られることがわかったという。

「食後血糖スパイク」(あるいは「血糖値スパイク」)は厳密な医学用語ではないものの、食事、またはある食材を摂取した直後から2時間ほどの間に血糖値が急峻に上昇する現象を指す。同試験は、バナナ摂取の有無ならびに1日の中での摂取時間帯と、「血糖スパイク」との関連性について臨床試験を行ったものとなっている。

■臨床試験の概要

41歳以上60歳未満の明らかな疾病のない男女47名を、朝食時にバナナを食べる群16名(以下、朝バナナ摂取群)、夕食時にバナナを食べる群16名(以下、夜バナナ摂取群)、バナナを食べない群15名(以下、非摂取群)の3つの群に無作為に分類。

2週間の試験期間中、被験者には腕にCGM(持続グルコース測定器)のセンサーを装着してもらい、朝と夕の「食前」「食後30分」「食後1時間」「食後2時間」の血糖値測定を行った。

なお、バナナは、120gを加熱せず生のまま摂取、またいずれの群においても、(バナナ摂取以外の)通常の食事時間および内容は「普段どおり」とし、制限を設けず検証を実施。

さらに、2週間の試験期間の前後それぞれで、体組成測定、血圧測定、血液検査を実施し、3つの群における介入前後の変化、3つの群間の違いについて統計解析を行ったとのことだ。

CGM(持続グルコース測定器)

■同臨床試験の結果

同試験では食後30分後、1時間後、2時間後の測定にて血糖が140mg/dLを超えた場合を「血糖スパイク」と定義した上で、その回数を発現数としてカウントし、測定した回数で割ることで朝バナナ摂取群・夜バナナ摂取群、非摂取群それぞれの発現率を求め、ポアソン回帰法にて算出した発現率比で検討を実施。

その結果、測定回数と血糖スパイクの発現数から、朝バナナ摂取群における血糖スパイク発現率比は朝食後0.1、夕食後0.16となり、夜バナナ摂取群(朝食後:0.10、夕食後:0.18)、非摂取群(朝食後:0.08、夕食後:0.17)に比べて、統計学的に有意に低い結果となった。

※朝バナナ摂取群(発現率比:P値=0.01、95%信頼区間1.09~2.20)、夜バナナ摂取群(発現率比:P<0.01、95%信頼区間1.28~2.61)、非摂取群(発現率比:P<0.10、95%信頼区間1.36~3.04)

朝バナナ摂取nののkのこのこうのこうkのこうかの効果の効果

食後の血糖スパイクが急激で頻度が多いほど、血管内皮を傷つけ、長期的には心血管疾患のリスクを上げるということが多くの研究結果から分かっており、血糖スパイクの発現は健康上可能な範囲で回避することが望ましいと言える。

バナナはその甘いイメージから食べると血糖が上がるイメージが持たれているが、今回の結果から朝食にバナナを食べることは、夕食後のバナナやバナナを食べないことに比べると、血糖の急上昇が起きにくい可能性が示されたとしている。

また、試験前後に行われた血液検査の結果、採血日からさかのぼって約2週間の平均血糖値を示す指標とされるグリコアルブミンの数値が、朝バナナ摂取群において介入後に統計学的に有意に低下していることがわかった。

同試験の結果、2週間毎朝、朝食時にバナナを摂取することで平均血糖値が下がる傾向が示されたことになり、朝のバナナ習慣は、糖代謝上の健康効果がより期待される可能性が示唆されたことになるとしている。

各群の介入前後のグリコアルブミンの変化/箱ひげ図

同試験は、2023年1月下旬から2月中旬にかけて実施されたもので、英文誌Archives of Clinical Trials(ISSN 2768-4598)最新号に掲載(Issue 1,Vol.3,2023)されたとのことだ。(論文の英文タイトル:”The Effect of the Timing of Banana Intake on Postprandial Glucose Spike: Randomized Parallel Group Comparison Study”)

<参考>
日本バナナ輸入組合『バナナ摂取の有無ならびに1日の中での摂取時間帯と、「血糖スパイク」との関連性