Appleは、iOS 17の提供を開始したことを発表した。

iOS 17イメージ

■着信を大幅にアップグレード

連絡先ポスターは、他社製の通話アプリも含め、ユーザーが登録した連絡先に電話をかけた際のユーザーの見た目を表示させることができる。写真やミー文字、タイポグラフィーやフォントの色で、自分好みにカスタマイズが可能。

連絡先ポスターイメージ

ライブ留守番電話では、留守番電話を残す際にリアルタイムでメッセージが書き起こされ、ユーザーは発信者がメッセージを残している間に、電話に出るかどうかを決めることができる。ライブ留守番電話による書き起こしはデバイス上で処理されるため、プライバシーが保護されるとのことだ。

また、「不明な発信者を消音」がオンになっている場合、不明な番号からの着信はライブ留守番電話に直接転送され、迷惑電話と識別された番号からの電話は着信拒否するという。

■FaceTimeの新しい方法

ユーザーはFaceTimeでビデオまたはオーディオによるメッセージを残せるようになり、電話をかけた相手が応答しない場合に、伝えたいことをそのまま記録できる。また、簡単なジェスチャーで、ハートや風船、花火、レーザーなどのリアクションを発動できるようになり、ZoomやCiscoのWebexなど、対応している他社製のビデオ会議アプリでも利用可能とのことだ。

さらに、Apple TV 4Kと接続することにより、Apple TVから直接FaceTime通話を開始することができる。センターフレームにより、ユーザーは部屋の中を動き回っても、完璧にフレーム内に収まるという。

■メッセージでつながるためのさらに多くの方法

メッセージアプリは、検索フィルターによって検索がさらに正確になり、オーディオメッセージは自動的に書き起こされるので、ユーザーはその場で読むことも、後で聞くこともできる。また、返信したいテキストは吹き出しをスワイプするだけで簡単に返信できるほか、すべてのiMessageアプリに簡単にアクセスできるとのことだ。

ステッカーでは、写真の被写体を抜き出してライブステッカーを作成する機能が追加。さらに、エフェクトも追加できるようになったという。

ステッカーイメージ

メッセージアプリの到着確認機能では、目的地に無事に到着したことを家族や友人に知らせることができる。ユーザーが目的地に向かって進んでいない場合は、デバイスの位置情報やバッテリー残量、携帯電話通信サービスの状況などの役立つ情報が、プライバシーが保護された方法で指定した連絡先と一時的に共有されるという。

到着確認イメージ

■「スタンバイ」で充電中のiPhoneがさらに便利に

「スタンバイ」は、iPhoneを横向きで充電している時に離れた場所から見えるように、様々な時計のスタイル、お気に入りの写真、または、適切なタイミングで適切なウィジェットを表示するスマートスタックを含むウィジェットを表示してパーソナライズすることが可能。

また、「スタンバイ」では、フルスクリーンのライブアクティビティ、Siriの応答、着信、より大きな通知を表示することもできるという。常時表示ディスプレイにより、情報を表示し続けるということだ。

さらに、ナイトモードでは、スタンバイが暗い場所に適応し、時計、写真、ウィジェットを赤いトーンで表示。MagSafe充電器を使用している場合、スタンバイはそのMagSafe充電ドックでのユーザーの好みの表示を記憶するという。

「スタンバイ」イメージ

■AirDropとNameDropで共有がより簡単に

AirDropの新しい機能であるNameDropを使うと、iPhone同士を近づけるだけで、連絡先ポスターを含めた連絡先情報を交換できる。近くにいる時は、同じジェスチャーを使って、コンテンツを共有したり、SharePlayを開始して音楽を聴いたり、映画を鑑賞したり、ゲームをすることができるという。さらに、ユーザーがAirDropの通信範囲を離れてもインターネット経由で転送を続ける機能が年内に追加されるとしている。

■自動修正と音声入力の全体的なアップデート

文レベルの自動修正によってより多くの種類の文法ミスを修正できるほか、修正された文字は一時的に下線が引かれ、タップするだけで元に戻すことができる。インラインの予測テキストによって文章をすばやく書き終えることができ、音声入力は新しい音声認識モデルによって精度が向上しているとしている。

■暮らしの中の様々な瞬間を「ジャーナル」で振り返る

「ジャーナル」は、ユーザーが日々の暮らしを振り返るのに役立つ新しいiPhoneアプリ。ユーザーに日記をつけるきっかけを与えるために、パーソナライズされた写真や人々、場所、ワークアウトなどの直近のアクティビティから候補として厳選するほか、日記の習慣を身に着けるために通知のスケジュールを設定することもできるという。

「ジャーナル」はユーザーのプライバシーを保護するように作られており、ユーザーが入力した情報にはAppleを含め誰もアクセスできないという。

また、新しいJournaling Suggestions APIを使えば、自分が開発したアプリに日記をつけるための提案を追加できるようになるとのことだ。ジャーナルアプリとJournaling Suggestions APIは、年内にソフトウェアアップデートで利用できるようになるとしている。

ジャーナルイメージ

■iOS 17のその他の機能

・Safariのプロファイル
履歴、Cookie、拡張機能、タブグループ、お気に入りなど、ブラウズを仕事とプライベートなどのトピックごとに分けることができる。プライベートブラウズは使っていない時はロックされるという。

Safariのプロファイルイメージ

・パスワードとパスキー
信頼できる連絡先グループとiCloudキーチェーンを通じてエンドツーエンドで暗号化されたパスワードを共有できる。

・ヘルスケアアプリ
日々の気分や一時的な感情を記録したり、自分の心の状態に影響を与えている可能性がある物事を確認したり、クリニックで使われているうつや不安症の検査や、住んでいる地域で利用可能なリソースに簡単にアクセスすることができるようになった。

さらに、スクリーンタイムの「画面からの距離」は、デバイスを見る距離を改善するために、TrueDepthカメラを使って、顔から30センチ未満の距離でデバイスを持っている時間が続くと、デバイスを遠ざけるようにユーザーに促すという。

ヘルスケアアプリイメージ

・Apple Music
SharePlayが車の中で使用できるようになり、車内にいる全員がApple Musicに登録していなくても、自分のデバイスで音楽をコントロールできる。クロスフェードによって、年内にはユーザーがApple Musicのプレイリストで共同作業できるようになるとしている。

・AirPlay
iPhoneのデバイス上の知能を使ってユーザーの好みを学習することでさらに機能が向上している。また年内には、ホテル内のテレビの対応も加わり、旅行中も簡単にお気に入りのコンテンツをテレビで見ることができるようになるという。

・AirPods
パーソナルなオーディオ体験ができる適応型オーディオ、パーソナライズされた音量、会話感知などの新機能が追加。さらに、デバイスの自動切り替え機能や通話コントロールも機能が向上したという。

・ホームアプリ
ドアの鍵、ガレージのドア、警報システム、接触センサーの最大30日間のアクティビティ履歴を確認できる機能が追加。また、2つのHomeKitのロック機能である、タップしてロック解除とPINコードがMatter対応の鍵で利用可能に。さらに利用している電力網に比較的クリーンなエネルギー源がある時間帯を表示して、デバイスを充電したり電気器具を使用したりする時間帯を計画できるようにする「グリッド予報」も追加された。

・マップ
オフラインマップが追加され、ユーザーはオフラインでも特定のエリアをダウンロードして、ターンバイターンナビゲーションの使用、到着予定時刻の確認、マップでの場所の検索などができる。さらに、リアルタイムで電気自動車を充電可能な場所の情報も提供するとしている。

オフラインマップイメージ

・AirTag
最大5人と共有して、グループ内の全員が持ち物の位置情報を確認し、サウンドを再生し、「正確な場所を見つける」機能を使って近くにある共有AirTagの位置情報をピンポイントで特定することが可能に。この機能は「探す」ネットワーク上にあるほかの全てのアクセサリでも使用できるという。

・リマインダー
買い物リストでは、追加したアイテムが自動的に関連カテゴリに分類され、さらにその方法も変更でき、ユーザーの好みがリストに記憶される。

・画像を調べる
一時停止したビデオのフレームでも利用できるようになる。ユーザーは食べ物、店舗、標識、記号を特定し、写真やビデオから個々の被写体を抜き出せるようになるとのことだ。

画像を調べるイメージ

・Siri
『Siri』と言うだけでSiriが起動するようになる。起動後は、Siriアシスタントを再び起動しなくても複数のコマンドを連続して伝えることができる。

・写真
デバイス上の機械学習を活用して、友人や家族と同様に、個々の猫や犬が「ピープル」アルバムで識別される。

・プライバシー
「コミュニケーションの安全性」がメッセージアプリ以外にも拡大され、AirDrop、連絡先ポスター、FaceTimeメッセージでコンテンツを送受信する際や、送信するコンテンツを選ぶために写真のピッカーを使用する際も使用可能に。静止画像だけではなくビデオコンテンツにも対象が拡大される。

新機能の「センシティブな内容の警告」を使うと、成人ユーザーは望まないヌード画像やビデオが表示されないようにすることができる。「コミュニケーションの安全性」と同様、画像とビデオの処理はすべてデバイス上で行われるため、Appleはこれらのコンテンツにアクセスできないという。

「センシティブな内容の警告」イメージ

・App Storeの「Today」
ユーザーは、一人ひとりの興味と好みに合わせた新しいおすすめとオリジナルストーリーや、厳選された作品が集められたセクションで、アプリ、ゲームおよびアプリ内イベントを見つけることができる。

・アクセシビリティ
認知障がいを持つユーザーがiPhoneを簡単に自立して使えるようにサポートするカスタマイズ可能な「アシスティブアクセス」、非発話者のユーザーが対面での会話や電話、FaceTime通話の際に話したいことをタイプすると読み上げてもらうことができる「ライブスピーチ」、発話能力を失うリスクのあるユーザーに、自分が話しているように聞こえる声を作る「パーソナルボイス」、指し示した対象物に書かれているテキストを読み上げることで視覚障がいのあるユーザーをサポートする「ポイントして読み上げ」がアップデートされた。