日々の暮らしのなかにあるサステナビリティを紹介する特集「サステナブック」。第7回に登場するのは、エシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙さん。オレゴン州での学生生活をきっかけにサステナブルな生活を心がけているというエバンズさんが、土へと還るヘチマスポンジを紹介。
- 【プロフィール】
- エバンズ亜莉沙さん
- 「エシカル」「サステナブル」をキーワードに、人と地球に優しい暮らしの実践と提案をライフワークとしているエシカルコーディネーター。NHK WORLD 「Ethical Every Day」MC, ELLE スタイルインサイダー。
天然素材で土へと還るヘチマスポンジ
——今回ご紹介いただく商品・サービスについてお聞かせください。
土に還るヘチマスポンジを紹介します。ヘチマスポンジは昔からあるものですが、最近はサステナブルなアイテムとして注目されています。お掃除や食器洗いに使われている市販のスポンジは、石油由来のものが多く、少しずつマイクロプラスチックとなって海に放出されてしまいます。私は海への影響を考えてなるべく天然素材のものを使うようにしており、普段からヘチマスポンジを愛用しています。
——普段どのような使い方をしていますか?
食器洗いに利用しています。最初は硬いですが、水分を含ませて使っているうちにどんどん柔らかくなり馴染んできます。ボロボロになったらコンポスター(堆肥にする容器)に入れて土へと還した後、新しいものを好きな大きさに切って使っています。
私なりのサステナビリティ
——サステナブルな生活を送るようになったきっかけを教えてください。
高校での授業がきっかけです。オレゴン州(米国)の高校に通っていたのですが、そこで環境科学の授業があり、森の生態系や地球環境と人間の関係を学びました。環境負荷や人権問題など、私たちの日々の選択が地球の裏側にまで影響を及していることに衝撃を受け、選択を変えれば与える影響も変わることに気づきました。それからはできるだけ生活のすべてをサステナブルなものへと切り替えています。
——意識して取り入れているサステナビリティはありますか?
ヘチマスポンジもそうですが、シャンプーやボディーソープ、洗濯洗剤や柔軟剤など、洗い流すものはすべてエシカルなものを使っています。
ほかにも、新しい服を買うときは、オーガニックコットンや麻などの天然素材やリサイクルポリエステルを選び、アクセサリーもヴィンテージやおばあちゃんから受け継いだものを愛用しています。以前はサステナブルなファッションをするには妥協しなければいけないイメージがありましたが、最近はデザインも機能も充実したアイテムが増えてきたなと感じています。
——普段からサステナブルな取り組みをしている企業やサービスを意識していますか?
はい。ヘアサロンもヴィーガンをコンセプトにした「whyte」に通っています。オーナーの中島潮里さんとは9年ほど前に知り合ったのですが、エシカルやサステナビリティについて学びを深めているところで意気投合しました。潮里さんがサロンをオープンする際には環境に配慮したいというお話があり、ディスカッションしたのを覚えています。
ほかには、プラントベースの台湾料理店「明天好好」もおすすめです。お料理がおいしいのはもちろんですが、“エシカル宣言”を打ち出しており、紙の循環やフードロス、CO2の削減など多角的に取り組んでいて素晴らしいと思います。
——こんな商品・サービスがあったらいいと思うアイデアはありますか?
探せばサステナブルな商品はありますが、まだ少ないかなと思うのは文房具やファブリックです。文房具やファブリックはみなさん使っていますし、家の中を見渡せばたくさんありますよね。
文房具でいえば、「ペノン」は使い終わったペンの芯を回収してリサイクルしていますし、「カポックノット」では木の実由来のサステナブルなスリープケットを発売しています。人気があるようなので、やはり需要があるのではないでしょうか。
——今後、私たちはサステナビリティとどのように向き合うべきだと思いますか?
私は、生産背景がわかる素敵なモノ選びができると心が軽くなるんです。サステナビリティは生活のすべてに当てはめることができるので、「好きなことでできることは何だろう?」と考えると楽しく始められるし、楽しければ継続して取り組めると思います。そして、今この瞬間からできることは、自分がすでに持っているモノを大切にすることです。
一人で始めることはできても、一人で続けることはできません。「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」というアフリカのことわざがあるのですが、サステナブルな社会は個人個人が分断されていては実現できないので、つながっていくことが大切。人と自然、そしてこの地球とのつながりを意識することが必要だと思います。