パーソル総合研究所は、「ワーケーションに関する定量調査」を実施し、結果を公表した。
観光庁の定義に基づくと、「ワーケーション」には普段の職場や自宅とは異なる日常生活圏外の場所での多様な働き方が内包されているが、同社は、就業者個人が認識しているワーケーションはその一部しか捉えられていない可能性があるとしている。
同調査では、観光庁の定義に基づいた「ワーケーション」の経験者に焦点を当て、その実態および効果、さらに効果を最大化するための要因について明らかにすることを目的に実施したとのことだ。
■主なトピックス(抜粋)
【ワーケーションの実態】
●全就業者(全国20~69歳男女)の17.4%が「日常生活圏外の場所で仕事と自分の時間を過ごした」経験がある。
なお、ワーケーションの目的に基づいて、個人ワーケーション経験者を類型化したところ、以下の5タイプに分けられた。他者奉仕タイプの割合が、5タイプ中で最も高い。
●「日常生活圏外の場所で仕事と自分の時間を過ごした」経験者に対して、ワーケーションの経験有無を質問すると、「経験あり」と答えた回答者は25.9%と、およそ4人に3人が「自分がワーケーションしていること」を自覚していないことが判明。
●ワーケーション経験者(無自覚含む)の内、14.1%が他のメンバーに隠れてワーケーション(隠れワーケーション)を行っている。特に、「息抜き集中」「仕事浸食」「動機低め」タイプは、5人に1人が隠れワーケーションを行っている傾向に。
【ワーケーションの効果】
〈有給休暇取得促進の効果〉
●地域に滞在している期間の内、約44%分が有給休暇として扱われている。
〈ワーケーション中の効果〉
●ワーケーション中の仕事の(主観的)生産性は、通常勤務時の6~7割程度。
<ワーケーション後の効果>
●ワーケーション後に、仕事における意識・行動の変化や成果につながった割合は4~5割程度。
■ワーケーション後の効果を高める要因
●ワーケーション後の効果を高める上で、ワーケーション中に感じる「職務効力感」を高めることがポイントとなる。なお、「職務効力感」は今回の経験で得たものが自身の仕事に活かせるかを感じる度合いとしている。
●職務効力感に対して、ワーケーション中の「非日常感」「体験の多さ」「現地交流の体験」「偶発的な体験」が正の影響を与えている。また、「体験の多さ」「現地交流の体験」「偶発的な体験」は「非日常感」に対しても正の影響を与えている。
●チームワークの高い組織や私的コミュニケーションの多いチームほど、ワーケーション後の効果(「仕事における意識・行動の変化、成果」「はたらく幸せ実感」「ワーク・エンゲイジメント」)が高い傾向。