ビジネス会計検定試験を主催する大阪商工会議所は、会社員を対象に「社会人の必須スキル」に関する調査を実施し、その結果を公表した。
■約7割が“スキルが足りなくて困った”経験がある
「社会人になって、業務を行ううえで“スキルが足りなくて困った”と感じたことはどのくらいあるか」と質問したところ、「とてもある」が23.7%、「ややある」が46.9%と、社会人の約7割が業務を行ううえでスキルが足りず困った経験があることが分かった。
■具体的に困ったエピソード
・エクセルの関数を使いこなせなくて困った(20代/女性/兵庫県)
・簿記ができずに迷惑かけた(30代/男性/茨城県)
・マクロができない。計算結果の整理が効率よくできない(30代/男性/茨城県)
・海外との会議で、相手の英語がよくわからなかった(40代/男性/広島県)
また、会計や経理の知識が無く、伝票の起票の際に対応できなかったり、試算表の入力時に勘定科目の振り分けに困ったりしたという回答も寄せられたという。
■約9割が経営や会計の知識は社会人として必要だと回答
「社会人として、企業の経営状況や財政状況を分析する知識は必須だと思うか」という質問では、「必須だと思う」が29.1%、「ある程度は必要だと思う」が59.7%と、約9割が経営や会計の知識は社会人に必要だと回答。
そう思う理由について、それぞれの回答は以下のようになった。
【必須だと思う】
・部の管理職となった場合、予算管理が必要となるほか、早期から組織全体のお金の流れを考えて行動することが大事だと思うため(30代/男性/兵庫県)
・企業の財務内容を知っておくといろんな角度から問題を見つけられると思う(30代/女性/香川県)
・企業の経営状況によっては転職もありえる(40代/男性/愛知県)
・経営状況や財政状況を知らずに適切な提案するのは難しいから(40代/男性/兵庫県)
【ある程度は必要だと思う】
・BSやPL、CFはある程度読めないと仕事にならない(20代/男性/東京都)
・普段の業務には関係ないかもしれないが今後の自分のためには知ってて損は無いと思う(20代/女性/東京都)
・決算書を読めるようになれば、仕事の幅が広がるから(30代/男性/神奈川県)
・会社の財務を理解するのは、ある程度重要(40代/男性/兵庫県)
【不要だと思う】
・わからなくても今現在困っていないから(20代/女性/東京都)
・経営のプロがやればよい(40代/男性/広島県)
・その業務に関係しなければ、あえて取り込む必要はない(50代/男性/静岡県)
・投資等を行わないのであれば、その知識は不要(50代/男性/神奈川県)
■“資格を取得したい”と強く思うきっかけ、「自分の足りないスキルを補いたいとき」が43.3%
「“資格を取得したい”と強く思う動機やきっかけとして、特に当てはまると思うもの(複数回答可)」と質問したところ、「自分の足りないスキルを補いたいとき」が43.3%と最も多く、次いで「業務を行ううえで必要に迫られたとき」が41.4%、「自分の価値を高めたいとき」が37.4%、「転職を考えたとき」が17.4%、「昇進を考えたとき」が15.9%と続いた。
また、「以下の中で、取得している、あるいは取得を検討した資格(複数回答可)」を聞くと、「簿記」が最も多く、次いで「TOEIC」「英検(実用英語技能検定)」「FP(ファイナンシャル・プランナー)」「ITパスポート」「ビジネス実務マナー検定」「ビジネス実務法務検定」「ビジネスマネジャー検定」「宅建士」「ビジネス会計検定(財務諸表理解力検定))」と続いた。
■どのような経緯、または理由で簿記の資格を取得(検討)をしたか?
・この先持っていたら何かと便利(20代/女性/東京都)
・資格を持っておくと転職などの際に便利だと思う(20代/女性/北海道)
・経理の仕事をするうえで必要な知識だと思ったため(20代/男性/神奈川県)
・どこへいっても事務職につくなら有利だと思うから(20代/女性/沖縄県)
■3割以上が簿記の資格を業務に活かせていない
簿記の資格は、主催する組織によって区分され、日商簿記・全経簿記・全商簿記の3つに分けられる。社会人の多くが取得を目指すのが、日商簿記と言われているという。
そこで、「日商簿記の資格を取得しているか」と質問したところ、27.0%が「はい」と回答。
「簿記の資格は業務に活かせていると思うか」という質問では、「ややそう思う」が34.2%と最も多く、次いで「とてもそう思う」が30.5%、「あまりそうは思わない」が25.7%、「まったくそうは思わない」が9.6%と続いた。
■簿記の資格が業務に活かせていない理由
・財務に関わる仕事をしていないため(20代/男性/栃木県)
・事務仕事に就けていないから(20代/女性/福岡県)
・今はITの部門にいるから(20代/女性/大阪府)
・会計関係の業務は行っていないので、簿記の知識が自分の業務に直接的に活かせてはいない(40代/男性/奈良県)
【調査概要】
調査期間:2023年8⽉1⽇〜2023年8⽉2⽇
調査⽅法:リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
調査⼈数:1,009⼈
調査対象:調査回答時に 会社員 と回答したモニター
モニター提供元:ゼネラルリサーチ
<参考>
大阪商工会議所『「社会人の必須スキル」に関する調査』