医学生物学研究所(MBL)は、運動神経への薬剤送達に利用する抗体を開発したと発表した。

MBLは、Jiksak Bioengineering社(以下、Jiksak社)が選別した運動神経軸索末端に発現する複数のタンパク標的に対する抗体を取得、提供しており、Jiksak社は、これらの抗体を使い運動神経疾患の治療に向けて「Drug Linked Carrier(以下、DLC)」という薬剤送達技術の開発を進めていたという。

今回、DLCのマウスおよびヒトiPS細胞から分化させた運動神経細胞への適用により、運動神経に特異的に薬物を送達する作用機序を裏付ける良質なデータが取得され、Jiksak社が提唱してきた仮説通りの効果が示されたとのことだ。

同抗体は、MBLが実績を持つファージディスプレイ法と、現在開発中のシングルB細胞クローニング法を用いて取得され、DLC技術にて期待される効果を確認。

シングルB細胞クローニング法を用いた抗体取得

抗体の取得には、膜タンパクの細胞外ドメインから抗原として適切な部位を抗原設計ソフト「MODELAGON」にて予測、設計し、合成ペプチドをマウスに免疫した結果、約4か月で精製抗体をJiksak社に提供することができたという。

また、複数の候補抗体を取得することにより、DLC技術に適切なものを選定することが可能となったとしている。

MBLは、抗体を利用した薬物送達技術も創薬支援事業の主要な領域と考え、クライアントと共により付加価値の特に高い抗体の開発に取り組んでいくとのことだ。