東京ガスは、「千住水素ステーション」において、AEM水電解装置を使用した水素の製造・販売を開始したことを発表した。
同ステーションは、2016年の営業開始以来、敷地内で都市ガスから製造した水素の販売を実施。
昨年度末、非化石証書が付与された実質再生可能エネルギー100%の電気に切り替えを行うとともに、今回、Enapter(エナプター)社製のAEM水電解装置を導入することで、CO2フリー水素の製造・販売を実現したとのことだ。
AEM水電解装置は、他の水電解方式と比べて新しい技術で、採用実例がまだ多くない状況にあるという。
一方で、構造がシンプルであり、小型のモジュールを組み合わせることで水素製造量を柔軟に調整可能であること、スペースが限られる場所への導入が期待できること、セル部材に用いる材料の選択肢が広く、セルスタックの低コスト化が可能であることなどの特長も。
東京ガスは、同ステーションへの導入を通じて、今後更なるAEM水電解装置の適切なシステム構成や運転管理等の知見獲得を進めるとしている。
その上で、工場や水素ステーション等において、水素使用量実態に応じた規模のAEM水電解装置の導入支援や水素供給ビジネスの展開を目指すとのことだ。
■導入設備概要
Enapter(エナプター)社製AEM水電解装置30モジュールを組み合わせ、水素製造量15Nm3/h規模の設備を導入。モジュール単位で操作が可能であり、単体で障害が発生した際も設備全体の運転を継続できる冗長性を備えている。また、水素製造装置の稼働率を上げるために、夜間も水素製造を行い、併せて導入した水素タンクに1MPa未満で貯蔵。
東京ガスグループは、経営ビジョン「Compass2030」で掲げた「CO2ネット・ゼロへの挑戦」に向け、脱炭素化に向けた技術開発の早期実現を図り、CO2ネット・ゼロをリードすることで、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に貢献していくとのことだ。