ファンケルは、キリンホールディングスとの共同研究成果の一つとして、キリンが保有する「白麹菌」に含まれる「14-デヒドロエルゴステロール（以下、14-DHE）」が美肌機能に関わる酵素「アルギナーゼ1」を増やし、糖化ダメージを抑制するとともに、老化を促進するシグナルを抑制することでアンチエイジングに導くことを見出したと発表した。
■研究結果
【「14-DHE」は糖化タンパク質が結合する「RAGE」を減らし、糖化ダメージを低減】
体内のタンパク質と糖が結合した糖化タンパク質「AGE」は、加齢とともに増加。この「AGE」が細胞の表面にある糖化タンパク質受容体「RAGE」に付着することで、細胞の糖化を加速させてダメージを引き起こし、老化を促進させることが知られているという。
そこで、抗糖化機能のあるアルギナーゼ1を増やす「14-DHE」が「AGE」や「RAGE」にどのような影響があるか確認したとのことだ。
培養表皮細胞に「14-DHE」を添加して、「RAGE」の発現量を測定。その結果、「14-DHE」は、「RAGE」を減少させることが確認されたという。
次に、細胞の糖化ダメージに対する「14-DHE」の効果を確認。培養表皮細胞に「AGE」と「14-DHE」をそれぞれ添加した結果、「AGE」により細胞内の糖化ダメージは高くなるが、「14-DHE」を添加することで「AGE」の糖化ダメージを抑制することが確認されたとのことだ。
【右】糖化ダメージに対する「14-DHE」の効果
【「14-DHE」は老化シグナル「pp53」を減らし、老化を抑制する】
酸化や紫外線などのストレスによる細胞の老化は、DNAダメージにより老化促進因子である「老化シグナル」が活性化することで起こることが知られているという。
また、アルギナーゼ1は、老化シグナルの「pp53」を減らすことにより、シミや皮膚炎症・老化を制御することが確認されている。
そこで同社は、「14-DHE」の老化シグナルへの影響を確認するため、培養表皮細胞に「14-DHE」を添加し、老化シグナル「pp53」の発現量と細胞内エネルギー産生を測定。
その結果、「14-DHE」によって老化シグナル「pp53」は低下するとともに、表皮細胞のエネルギー産生が増加して細胞が活性化していることを確認したとのことだ。
【右】「14-DHE」によって表皮細胞の細胞が活性化
以上の結果から、「14-DHE」の美肌機能メカニズムは、美肌に関わる酵素である「アルギナーゼ1」を増やすことで糖化による細胞へのダメージを低下させ、老化促進因子である老化シグナルの「pp53」を減らして細胞を活性化することで、肌の老化を抑制すると考えられるという。
同社は 今回、「14-DHE」 が美肌に関わる酵素であるアルギナーゼ1を増やし、糖化ダメージや老化シグナルの「pp53」を減らすことで、老化抑制につながることを確認。
「14-DHE」のオールマイティーなアンチエイジング機能を応用し、加齢や乱れた食生活で増加する糖化による老化リスクの低減を目的とした製品開発が期待できるとのことだ