無料語学学習アプリ「Duolingo」を提供するDuolingoは、LinkedInと共同で、職場で使われるビジネス用語に関して「State Of Workplace Jargon(ビジネス用語の使用に関する実態調査)」を実施し、結果を公表した。
同調査でDuolingoとLinkedInは、8カ国8,000人以上の社会人を対象に、最も誤解され、多用されているビジネス用語について調査。新しいビジネス用語を理解することについて社会人がどのように感じているか、世代や国によってビジネス用語が仕事に与える影響をどう受け止めているのか明らかにしたとのことだ。
■調査結果
世界中の職場でビジネス用語が多用されているが、4分の1以上の社会人は自分がビジネス用語を使っていることにほとんど気づかず。中でも、ミレニアル世代は職場でビジネス用語を使うことを最も認めており、Z世代は職場にビジネス用語が多すぎると最も強く感じていた。
●世界の58%の社会人が「同僚が職場でビジネス用語を多用している」と回答。
●調査対象国のうち、最も「同僚がビジネス用語を多用している」と答えた国はインド(78%)で日本は下から2番目の40%(Z世代60%、ミレニアル世代45%、X世代33%、ベビーブーマー24%)。
●日本の社会人の36%が、自分がビジネス用語を使っていることは分かっているが、使わないように意識していると回答。
●日本のプロフェッショナルの19%は、職場でビジネス用語に慣れすぎていて、自分がビジネス用語を使っていることにほとんど気づいていない。
半数近く(46%)の社会人が、できることならば職場でビジネス用語の使用をなくしたい、あるいは減らしたい、と考えている。
●アメリカでは、ちょうど半数の社会人がビジネス用語の使用をなくしたい、または減らしたいと考えており、特に若い世代においてその傾向が強い(Z世代60%、ミレニアル世代65%、X世代50%、ブーマー世代23%)。
●調査対象国のうち、ビジネス用語の使用をなくしたい、または減らしたいという意見に最も同意しているのはインド(70%)、ついでベトナム(58%)、米国(50%)という結果に。
●日本の社会人の31%が、職場のビジネス用語の使用をなくす、または減らすことを望んでいる。ミレニアル世代(33%)、X世代(23%)、ベビーブーマー(17%)と比較して、Z世代(52%)でより顕著。
世界の社会人の3人に2人が、職場のビジネス用語を自分で理解する必要があると答回答。これはストレスの原因となり、生産性を低下させ、会話から取り残されていると感じる人も。
●特に、ベトナム(86%)、インド(78%)、米国(56%)において、「職場のビジネス用語を自分で理解する必要があった」と回答した割合が最も高かった。
●ビジネス用語の使用は、調査対象の社会人のあらゆる業種で見られるが、特にテクノロジー、情報、メディアで働く人々が最も多い結果に(72%)。
●日本の社会人の47%が、直近の仕事を始めたとき、ビジネス用語を自分で理解する必要があったと回答。これはZ世代(65%)で最も顕著であり、ミレニアル世代(53%)、X世代(38%)と続く
ビジネス用語が多すぎるとコミュニケーションが複雑になり、ミスや余計な会議、メール、修正などによる時間の浪費に繋がる。
●世界中の社会人の半数以上(57%)が、月に数回以上ビジネス用語の誤解によって時間を浪費していると回答。およそ3分の1(32%)は週に数回無駄にしていると回答。
●40%の社会人が、職場のビジネス用語の意味を知らなかったために、仕事で誤解やミスをしたことがあると回答。日本の社会人に限定すると22.9%という結果に。
●日本の社会人の26%がビジネス用語の使用は混乱を招くと感じ、20%がコミュニケーションを複雑にしすぎていると回答。
●日本の社会人の70%が、ビジネス用語の誤解が、追加の会議、メール、修正といった形で無駄な時間につながることに同意。
時間の浪費や複雑さが増えるだけでなく、ビジネス用語の多用は、職場に排他的な環境を生み出す可能性も。
●世界の半数近く(49%)の社会人が、少なくとも週に一度、「職場の会議でビジネス用語を使う人がいると、理解できない言語を話しているように感じる」と回答。
●約40%の日本人が、少なくとも週に一度、「職場の会議でビジネス用語を使う人がいると、理解できない言語を話しているように感じる」と回答。
●世界の社会人のうち64%、日本の社会人のうち33.2%が「ビジネス用語を理解している同僚は、理解していない同僚よりも仕事で出世(昇進、昇給など)できる」と回答。仕事でのビジネス用語の多用が、昇進の機会の不平等を生む結果に。
●世界中の社会人のうち19%、日本の社会人のうち12%が、「一緒に働く人がビジネス用語を多用すると、一体感のある環境を作れない」と回答。
●日本の社会人の19%が、ビジネス用語を理解する過程で、会話から取り残されているように感じると回答。一方で、41%はこのプロセスが自分に影響を与えないと感じている。
職場に出社する社員よりも、ハイブリッドワーカーやリモートワーカーの方が、ビジネス用語がもたらすネガティブな影響を受けやすいことが判明。
●ハイブリッドワーカーやリモートワーカーのうち71%が、ビジネス用語の多用によって会話に取り残されたと感じており、オンサイトワーカーの54%よりも高い結果に。
●ハイブリッドワーカーとリモートワーカーの70%が、ビジネス用語を理解している社員は仕事で出世できる(昇進、昇給など)と回答。オンサイト社員においてもの半数以上(56%)が同じ考えを持つ。
●グローバルに活躍するハイブリッドワーカーやリモートワーカーの4分の1以上が、ビジネス用語を理解することがストレスになり、生産性を低下させたり、入社後のオンボーディングを遅らせたと回答。
ビジネスのグローバル化に伴い、英語が公用語でない国でも、英語での専門用語が一般的になってきていることが明らかに。
8カ国で、最も混乱するビジネス用語と最も一般的なビジネス用語を調べると、英語を母国語としない国でも英語での専門用語が挙げられたという。
これは、ビジネスのグローバル化と、若い世代の社会人が、英語の専門用語をその国の言語に直接翻訳せずに職場に持ち込んでいることの両方が原因であると同社らは考察している。
【調査概要】
2023年5月、DuolingoとLinkedInは、米国、英国、オーストラリア、インド、コロンビア、ブラジル、ベトナム、日本の18~76歳のグローバル社会人8227人を対象に、CensusWide調査を実施(各国最低1,000人の参加)。
<参考>
Duolingo調べ『State Of Workplace Jargon(ビジネス用語の使用に関する実態調査)』