LIXILは、国立大学法人金沢大学、ならびにコマニーと共同で発足した「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」にて、この5年間でのトランスジェンダーのトイレ利用に対するシスジェンダーの意識の変化、およびオフィスと公共施設でのトランスジェンダーのトイレ利用実態などについて調査を実施し、速報結果を公表した。
なお、その他の調査結果など、詳細については秋ごろに公開予定とのことだ。
1.トランスジェンダーが性自認に沿ってトイレを利用することに対するシスジェンダーの意識
1-1.「抵抗はない」と回答した人の割合
トランスジェンダーが性自認に沿ってトイレを利用することについて、“どちらかといえば”も含めて「抵抗はない」と回答したシスジェンダーの割合は、オフィス、公共施設共に約7割という結果に。なお両施設を比較すると、オフィスは71.5%、公共施設は66.9%であり、オフィスの方が抵抗を感じない人がやや多い傾向が見られた。
オフィスについては、“どちらかといえば”も含めて「抵抗はない」と回答した人の割合は、2017年の65.5%から2022年では6ポイント増加し71.5%。特に、「抵抗はない」が11.9ポイント増加し、この5年で性自認に沿ったトイレ利用に対する意識の変化がみられる。
1-2.「LGBT等性的マイノリティ」に関する研修等の受講経験の影響
「LGBT等性的マイノリティ」に関する研修やセミナー等を受けたことのある人は、シスジェンダー全体の12.8%に過ぎず、まだまだ少ない状況に。
なお、研修等の受講経験がある人は、ない人に比べて、トランスジェンダーが性自認に沿ってトイレを利用することに対して「抵抗はない」と回答した人の割合が4.6ポイント高い結果となった。
同社は、誰もが安心して快適に利用できるトイレ環境の実現には、トランスジェンダーや性の多様性について正しく知ることも重要だとしている。
2.トランスジェンダーのトイレ利用実態
2-1.「利用しているトイレ」と「利用したいトイレ」
オフィス、公共施設共に、トランスジェンダーが「利用しているトイレ」も「利用したいトイレ」もさまざま。「利用したいトイレ」では、両施設共に5割強が男女別トイレ、4割強が性別を問わず利用できる「多機能トイレ」や「男女共用トイレ」と回答。
2-2.「利用したいトイレ」が利用できていない状況
オフィス、公共施設にて「利用しているトイレ」と、「利用したいトイレ」が不一致のトランスジェンダーは、オフィスでは約4割、公共施設では約3割という結果に。
シスジェンダーと比較して、オフィスでは37.6ポイント、公共施設では26.2ポイントも高くなっている。
また、公共施設に比べてオフィスの方が「不一致」の割合が高く、不一致の理由として、オフィスの方が公共施設以上に「周囲の目」を気にするものが多く、顔見知り同士で利用するオフィスの方がより課題が深刻であることが伺える。
その背景には、働きたい性別で働くことができていない状況があり、トイレの課題は就労困難の要因のひとつとも指摘されているという。トイレの整備とともに、トランスジェンダーが働きやすい環境を整えることが求められるとのことだ。
■調査概要
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2022年11月18日~29日の計12日間
調査対象者:
調査会社に登録しているモニターのうち、20~59歳の日本在住の有職者6万人を対象に事前調査を実施。さらに、設定条件により抽出した1,325人(シスジェンダー計1,000人、トランスジェンダー計325人)に対し、トイレに関する同調査を実施。
<参考>
トイレのオールジェンダー利用に関する研究会『トランスジェンダーのトイレ利用に対するシスジェンダーの意識の変化』