ビル・ゲイツ氏はアメリカのサンディエゴで開催されたASU+GSVサミットで講演を行い、「18カ月以内に、AIが教師の補佐として教育分野に登場する」と述べ、教育分野におけるAIの今後の展望を予測した。
DreamBox Learningのジェシー・ウーリー・ウィルソン氏との対談で、ゲイツ氏はAIと機械学習について語った。
「これまでAIが本質的に役立たなかった領域は、読み書きの分野だった。例えば、AIが生物学の教科書を学習したとしても、AP試験(Advanced Placement Exams・アメリカで学生が毎年5月に受験する試験)に合格することは不可能だった」と限界を指摘し、今ではGPT-4のような新しいAIのシステムが人間とのギャップを埋め始めたと語った。
また、ゲイツ氏は、AIテクノロジーが従来にはない方法で、学生の読み書きを改善する教育に役立つ可能性があると述べた。従来のコンピューターテクノロジーでは、書くためのスキルを教えることは困難な作業とされていた。しかし、対話型AIは人間の言語を認識して再現する能力があり、書かれた文章についてフィードバックを提供することも可能だ。
現状のAIは教師に取って代わるほど進歩していないが「今後の研究次第でAIが人間と同じくらい優れた家庭教師になる可能性がある」とゲイツ氏は語った。また、今後の教育分野におけるAIの発展によって「高額な教育を受けられない貧しい学生でも、人間の創意工夫によって、AIによる家庭教師を利用できる可能性がある」と推測した。
今後については「18カ月以内に、AIが教師の補佐として教育分野に登場し、生徒のライティングスキル向上のためのフィードバックを提供するようになる」と予測した。また、対話型AIでは困難とされる代数や微分積分などの数学の分野について「おそらく2年以内に、数学分野における技術が向上すると確信している」と述べた。