高齢者の住まい探しの困難解消へ LIFULL、「高齢者接客チェックリスト」を提供開始 約4割の高齢者が「高齢がハードルとなり、候補となる物件が少なかった」

LIFULL(ライフル)は、不動産会社が高齢者に対する理解をより深め、適切な接客を行えるようになることを目的とした無料チェックツール「高齢者接客チェックリスト」を4月10日に提供開始すると発表した。

高齢者の住まい探しの困難解消へ LIFULL、「高齢者接客チェックリスト」を提供開始 

同社が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、あらゆる人の“したい暮らし”の実現を目指す「LIFULL HOME’S ACTION FOR ALL」に取り組んでいる。

その取り組みのひとつである「FRIENDLY DOOR」は、高齢者、外国籍、LGBTQ、生活保護利用者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者などの住まい探しに困難を抱える「住宅弱者」の人々が、親身になって住まい探しの相談に応じる不動産会社を検索できるサービス。

今回、サービスの一環として、不動産会社が高齢者に対する理解をより深め、適切な接客を行えるようになることを目的とした無料チェックツール「高齢者接客チェックリスト」を提供するとのことだ。

■ 高齢者チェックリストとは

『高齢者接客チェックリスト』は、不動産会社のスタッフが高齢者に対する理解を深め、適切な接客を行えるようになることを目的とした、オンライン上で利用できる無料のチェックツール。

行政の高齢者住宅支援や窓口についての知識を問う「基礎知識編」と、住まい探し時の注意点や接客方法を問う「問合せ~退去編」の2つで構成されている。

それぞれ選択式となっており、回答後に表示される解説を通して理解を深めることができる。解説では、行政による高齢者支援に関する基礎知識や、高齢者来店時の具体的な接客方法、引越し・入居中・退去後に気を付けるべきポイントなどがまとめられている。

LIFULL HOME’Sは、同チェックリストの提供により高齢者の住まいの選択肢を広げ、高齢者が安心して住まいを探せる社会を目指すとのことだ。

■ なぜ高齢者チェックリストがなぜ必要なのか

内閣府が公表した「令和4年版 高齢社会白書」によれば、65歳以上人口は3,621万人。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は28.9%となっている。さらに令和47年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になるとされ、ますます高齢化は進んでいる。

また、LIFULL HOME’Sが2022年5月に実施した「住宅弱者の住まい探しに関する実態調査」では、「高齢者であることがハードルとなり、候補となる物件が少なかった」と答えた高齢者は44.1%、「内見や手続き時に、高齢者であることを理由に差別を受けた・不平等さを感じた」と回答した高齢者は19.6%という結果となり、住まい探しに困難を抱える高齢者の実情がうかがえたとのことだ。

調査では、以下のような声も寄せられたという。

●「65歳以上であることから、保証金や保証会社の契約金を倍近く請求された。気に入った物件があり不動産会社に問合せた際に、こちらが詳しい内容を伝えるまでもなく、年齢で審査には通らないので物件はあきらめるよう勧められた」(女性 60代以上)
●「68歳のため、1人暮らしの審査が通るかどうか不安だった。市内に住む子供が保証人になってくれた。マンションを売却して手元にお金があっても高齢者は審査が通るか分からず、時間もかかりストレスだった」(女性 60代以上)
●「高齢者なので、収入源について何度も確認された」(女性 60代以上)

このように、高齢であることが理由で住まい探しにさまざまな課題がある中、今回提供を開始する「高齢者接客チェックリスト」は、不動産会社のスタッフに高齢者の住宅課題や適切な接客方法への理解を促すことで、高齢者が直面する住まい探しの困難の解消を目指しているとのことだ。

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