出光興産、豪州でバナジウム事業を推進するVecco社へ826万豪ドルを追加出資 低炭素ビジネスの開発を推進

出光興産は、豪州でバナジウム事業を推進するVecco(ヴェッコ)社へ826万豪ドルを追加投資したと発表した。

昨年10月に実施した初期投資と合わせて同社の出資額合計は1,316万豪ドルとなり、株式保有比率は14.7%となる。同社は今回の出資を通じてレアメタル事業の知見獲得を推進し、再生可能エネルギーの導入促進・低炭素社会の実現に貢献する事業開発を加速させるという。

プロジェクト位置図
採掘予定地(ジュリアクリーク)

Vecco社は、豪州クイーンズランド州でバナジウム鉱山と電解液プラントに関するプロジェクト(プロジェクト名:Debella Project、以下、プロジェクト)を進めている。プロジェクトでは、バナジウムを含む鉱石の採掘・五酸化バナジウムへの精製・レドックスフロー電池用のバナジウム電解液生産といった地産地消のバリューチェーン構築を目指すとのことだ。

同社は今回の増資で、合計1,000万豪ドルを追加で調達し、資金はプロジェクトの事業化調査、環境承認、精錬・精製試験、鉱区申請費用などに充てられる予定であるという。また、資金の一部は最終製品の研究開発などにも充当されるとしている。

レドックスフロー電池は、エネルギーを電解液に蓄える仕組みの電池。電池容量の拡大が容易で、長寿命といった電力系統用の大型蓄電池に適した特性を有しており、再生可能エネルギーの導入促進に寄与すると注目されている。

プロジェクトではまず、レドックスフロー電池向けのバナジウム電解液製造プラント(年間生産量約35MWh)の本年中の稼働開始を目指すという。これは豪州初となる商業規模の電解液製造施設となり、建設にはクイーンズランド州政府の推進する蓄電池産業振興策に関連した官民パートナーシッププログラム(Industry Partnership Program)の支援が決定している。将来的にはバナジウム電解液の生産能力を年間 350MWh 以上に増やす予定。なお、鉱山開発によるバナジウムの採掘開始は2024年中を目標としているとのことだ。

【プロジェクト概要】

1. プロジェクト名
Debella Project(デベラ プロジェクト)

2. 採掘・生産を想定する資源
主製品:五酸化バナジウム(V2O5)・バナジウム電解液
随伴副生品:高純度アルミナ(HPA)、レアアース

3. 鉱山場所
クイーンズランド州・ジュリアクリーク(タウンズビルから650km西)

4. URL
https://veccogroup.com.au/operations/debella-v-hpa-project/

5.プロジェクトイメージ

プロジェクトイメージ
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