子育て中の親が「少子化対策になると思う政策」、1位は「ベビーシッターなどの金銭的補助」と「全員が保育園に入れる環境」 すぐに実行してほしい政策1位は「所得制限の撤廃」

全国47都道府県で24時間ベビーシッター・家事代行サービスをスマホで依頼できる「キッズライン」を運営するキッズラインは、政府による『異次元の少子化対策』の3月末の取りまとめを前に、子育て中の親1016人に「少子化対策になると思う政策」などについて調査を実施。その結果を発表した。

子育て中の親が「少子化対策になると思う政策」、1位は「ベビーシッターなどの金銭的補助」と「全員が保育園に入れる環境」

「少子化対策になると思う」政策、「ベビーシッターなど個別保育の金銭的補助」と「全員が保育園に入れる環境」が86.9%で1位

政府が2023年3月末を目途にたたき台をまとめるとしている「異次元の少子化対策」。現在子育て中の親は、どのような政策が「少子化対策」として有効だと考えているのか。そこで、キッズラインでは子育て中の親1016人にアンケートを実施。

以下のグラフは、少子化対策として有効性が注目されている19の政策について、「少子化の対策になると思う」と回答した比率が高い順にまとめたもの。

子育て中の親が最も多く「少子化対策になる」と回答したのは、「希望者全員が保育園に入園できる保育環境」(86.9%)と、「ベビーシッターなど個別保育に対する金銭的補助」(86.9%)。

3位は「病児保育、夜間保育など保育サービスの充実」(84.5%)、4位は「小学生の学童保育の拡充」(83.2%)と、4位までいずれも育児支援を求める回答が上位を占める結果となった。

このことから、子育て中の親の多くは、出生後から小学生までの期間、集団保育と個々の状況に応じた個別保育の両輪の支援を行うことが「少子化対策になる」と考えていることが明らかになったとのことだ。

《すぐに実行してほしい政策》1位「所得制限の撤廃」、2位「N分N乗方式」、3位「ベビーシッターなど個別保育の金銭的補助」の順

次に、上記で質問した19の政策の中から、「すぐに実行してほしい政策」を3つ選択してもらった結果が以下のグラフ。

「今すぐ実行してほしい」政策として子育て中の親が最も多く回答したのは「家族手当の拡大/児童手当の所得制限撤廃」(42.4%)となった。次に多かったのは「子の人数によって所得税が軽減される制度(N分N乗方式)」(34.5%)。この2つの政策は議論の行方が注目されている最中であるが、「収入支援」への子育て中の親の期待値が高いことが改めて分かる結果となった。

3位には「ベビーシッターなど個別保育に対する金銭的補助」(27.1%)、4位には「希望者全員が保育園に入園できる保育環境」(21.8%)が入ったとのことだ。この2つは「少子化対策になると思う」という回答の1位の項目でもあり、「集団保育」と「個別保育」の両方の環境整備を「すぐに実行してほしい」と多くの親が望んでいると言えるという。

ベビーシッター未利用者でも「個別保育」の潜在的需要が大きい

「すぐに実行してほしい政策」として3位に入った「ベビーシッターなど個別保育に対する金銭的補助」。この項目をベビーシッターの利用の有無別で見ると、ベビーシッターの利用経験者(732人)の28.6%、未利用者(284人)の21.5%が選択。

ベビーシッター未利用者のみの「すぐに実行してほしい政策」は以下の通り。

ベビーシッターを利用したことがない場合でも、4位に「ベビーシッターなど個別保育に対する金銭的補助」が入っており、このことから、保育園などでの集団保育だけでなく、ベビーシッターなどによる個別保育の潜在的需要が大きいことが推測されるとのことだ。

41.8%が「ベビーシッターを利用することが2人目以降の出産のきっかけになる」と回答

それでは、「ベビーシッターの利用」は少子化対策として実際にどのくらい有益なのか。そのことを調査するため「ベビーシッターの利用が2人目以降の出産のきっかけになると思うか?(なったと思うか?)」という質問を実施。

「ベビーシッターの利用が2人目以降の出産のきっかけになる(なった)」と回答したのは41.8%に上った。反対に「2人目以降の出産のきっかけにはならない(ならなかった)」は、30.6%。「きっかけになる」が「きっかけにならない」を11.2ポイント上回る結果となった。

ベビーシッターの利用が2人目以降の出産のきっかけになると思う理由

ベビーシッターの利用が2人目以降の出産のきっかけにつながらないと思う理由

全ての子どもが平等に“保育を受けられる”環境整備が求められている

ここまで「少子化対策になると思う政策」「ベビーシッター利用が少子化対策になるか」について、見てきた。子育て中の親へ調査した結果、
●「少子化対策になると思う」政策は、「希望者全員が保育園に入園できる保育環境」と「ベビーシッターなど個別保育に対する金銭的補助」が1位
●《すぐに実行してほしい政策》は、1位「所得制限の撤廃」、2位「N分N乗方式」、3位「ベビーシッターなど個別保育の金銭的補助」
●41.8%が「ベビーシッターを利用することが2人目以降の出産のきっかけになる」と回答
という実態が明らかに。

今回の調査では、児童手当の所得制限撤廃やN分N乗方式などの「収入支援」に加え、保育園での集団保育やベビーシッターなどによる個別保育などの「育児支援」も重要であると、子育て中の親の多くが考えていることが分かったという。

現在日本では、出生後から3歳未満の子どもは、親が就業している場合に限って保育園などでの保育を受けることができるが、出生したすべての子が平等に“保育を受けられる”環境は整っていない。今後は全ての子が保育園やベビーシッターなどの“保育を受けられる”環境を整備していくことが求められているとのことだ。

■ 調査概要
・調査期間:2023年3月7日〜3月12日
・調査対象:子育て中の親1016名(男性77名、女性928名、無回答11名)
・調査方法:インターネット調査(キッズライン会員への調査依頼およびSNSでの協力依頼)

<参考>
キッズライン
育児中の親86%が望む少子化対策は、「全ての子どもに保育園やシッターなどの育児支援を提供すること」収入支援を上回る回答【1016人に調査】

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