CONTE一級建築士事務所(以下、CONTE)と、リノべるは、長野県小諸市で農業やワイン造りを事業運営するGreve.t(以下、Greve.t社)を事業主としたワイナリー・ショップ棟とレストラン棟を兼ね備える複合施設「STARRACE KOMORO(スタラス小諸)」を、2023年3月20日、長野県小諸市の飯綱山公園敷地内に竣工すると発表した。
同施設は、都市公園の利活用を推進する制度「公募設置管理制度(Park-PFI)」を長野県内で初めて活用したもので、Greve.t社が2021年12月に「飯綱山公園官民連携魅力向上事業」の事業者認定を受け竣工。
コンセプトは、「農業で人と人をつなぎ、ふれあいを生み出す」。農業と食文化の振興を目指し、1次産業から3次産業までを体験、見学でき、公園利用者と地域住民が積極的に交流できる体験型複合施設となっているとのことだ。
小諸市が掲げる魅力的な公園づくりに貢献するべく、建築設計の側面では(1)既存の景観に調和したデザイン、(2)眺望を活かした場づくり、(3)資材の地産地消を目指したという。
なお同事業において、事業主であるGreve.t社が事業計画の立案と全体統括を行い、マスターアーキテクトとしてCONTEが設計・監理統括、Park-PFI公募支援、基本計画、基本設計、内装デザインを担い、リノベるが基本計画支援、基本設計支援、実施設計、内装設計、各種申請業務、施工、インテリア、Park-PFI公募支援を担当している。
■物件概要
設備名称:STARRACE KOMORO(スタラス小諸)
所在地:長野県小諸市大字諸字東房151-1(飯綱山公園内)
竣工日:2023年3月20日
開業日:2023年3月20日
構造・規模:レストラン棟:木造平屋建て、ワイナリー・ショップ棟:鉄骨造平屋建て
営業時間:8:00~21:00
定休日:無休
(1)既存の景観に調和したデザイン
飯綱山公園は、1994年に設置された小諸市民に愛される広大な敷地を持つ公園。特に小諸高原美術館とそれに続く大階段が象徴的で、「STARRACE KOMORO(スタラス小諸)」はこの大階段の中腹と階下に位置。高さがある大きなワイナリー・ショップ棟を低い位置に配置し、建築の高さをおさえたレストラン棟を斜面に配置したという。
両棟共に水平ラインを強調し建築の高さをおさえたデザインとすること、そして彩度をおさえた色彩や自然の素材感を魅せる外観デザインとすることで、市街地から飯綱山への風景を損なわずに、新たなシンボルとなるよう計画。また、斜面地となる敷地に対して、屋根勾配・高さをおさえ、冬季の利用を考慮して無落雪屋根とすることで安全性を確保。
(2)傾斜面の眺望を活かした場づくり
大階段中腹に位置する眺望の良いレストラン棟は、開放的な大型サッシを採用し、テラス内外の視界がシームレスに繋がるデザインに。斜面には中間エリアとしてシンボルツリーとなる「メタセコイア」を新たに植栽し、訪れた人々が自然と眺望を楽しめるようなファニチャーを設置することで、憩いの空間を創出。
(3)資材の地産地消
工事中に採掘された石を屋外テーブルやベンチに再利用したり、事業主であるGreve.t社が運営するワインの圃場(畑)の土をワイナリー・ショップ棟エントランスの壁に左官の材料として利用するなど、資材の有効活用だけでなく、そこにあるストーリーも含めて活かした設計に。
また、斜面地を利用して、自然通風・採光を取り入れ空調設備省力化を図ったとのことだ。