日本電信電話(以下、NTT)とKDDIは、光伝送技術やモバイルネットワーク技術ならびにその運用管理技術など、両社が共に強みを生かせる光ネットワーク分野の標準化に向け基本合意書を締結したと発表した。
今後、世界にオールフォトニクス・ネットワークを中心とした革新的通信技術を広めるため、世界中のパートナーと共にオープン・イノベーションを推進し、標準化をめざすとのことだ。
■背景
これまで日本では、NTTとKDDIが光ネットワークの研究開発を牽引してきた。両社は、国内基幹伝送路向けの大容量光通信システムとともに海外向け長距離伝送路としての大容量光海底ケーブルシステムの研究開発を進め、日本国内外での光通信による大容量通信の実現と基幹インフラ整備の発展を遂げたとのことだ。
Beyond 5G/6G時代では社会の情報化がますます加速し膨大な情報処理が必要となる。そのため、既存の情報通信システムに対するさらなる伝送能力の拡大や処理能力の高速化と、カーボンニュートラルに求められる低消費電力化が必要となる。
またこれらの課題を解決し、世界中で革新的なサービスを利用できるようにするためには、世界中のパートナーとのオープン・イノベーションを活用して光ネットワークに関わる最新技術の研究・開発を迅速に進めるとともに、標準化による普及を進めることも必要となっているという。
NTTとKDDIはこれまで培った通信技術、経験を基に、課題を解決するオールフォトニクス・ネットワークのグローバルレベルでの実現を進めていくとしている。
■同合意書の概要
Beyond 5G/6G時代の課題解決に向け、NTTとKDDIは持続可能な大容量の光ネットワークの実現をめざす。また、光ネットワークの研究・開発は、オープン・イノベーションで検討を加速し、世界に革新的通信技術を広めるとともに、標準化をめざすとのことだ。
1.高速化と品質維持を両立するオールフォトニクス・ネットワークの伝送方式の標準化
電気処理を行わず光波長信号のまま処理して伝送するオールフォトニクス・ネットワークは、低消費電力かつ低遅延が特長。一方で、さまざまなサービスごとに有限の光波長を効率的に割り当てる手法や、光ファイバー中や光増幅器での伝送品質劣化の抑制が課題となっているという。
両社が強みとする、光ファイバーやそれに関連する通信技術、国内外での社会実装の実績を基に、オールフォトニクス・ネットワークの実現、拡張、キャリア間の相互接続に向けた標準化活動を推進。
2.モバイル通信におけるオールフォトニクス・ネットワークの標準化
Beyond 5G/6Gの時代には、新たなサービス体験を提供すべく、より多くの基地局の構築などモバイルインフラの高度化が求められる。両社はモバイルネットワークにオールフォトニクス・ネットワークを適用するための技術の標準化活動を進め、基地局を含むコアネットワーク内や、エッジやクラウドがあるデータセンター間をオールフォトニクス・ネットワークで繋げることで、モバイル通信・サービスの高度化に寄与するとのことだ。
オンデマンドにコアネットワークを構成し消費電力の削減にも寄与できる、大容量かつ超低遅延でゆらぎのない高品質・高信頼な革新的なコミュニケーションインフラの実現をめざすとしている。
3.オーケストレーション技術の標準化
Beyond 5G/6G時代には、社会におけるICTリソースはこれまで以上に飛躍的に増大するだけでなく、高い信頼性が求められることから、さまざまなICTリソースの配備と構成の最適化を実現する強靭なネットワークが求められる。
両社は、これまで培った光ネットワークの監視・制御技術の標準化活動を推進し、マルチベンダシステムにおいても信頼性の高い光ネットワークを実現していくという。複数の光ネットワークを協調して監視制御するオーケストレーション技術を両社で検討し、強靭なネットワークの実現を推進するとのことだ。
■今後の展開
標準化活動を進めるにあたり、オープン・イノベーションの推進の場として、Innovative Optical and Wireless Network(IOWN)Global Forumなどの活用の仕方なども含めて検討を行い、将来的にITU-T (International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)などでの技術の標準化をめざすとしている。
NTTとKDDIは、強靭な通信インフラであるオールフォトニクス・ネットワークを早期に社会実装し、世界へ貢献することをめざしていくとのことだ。