電通西日本、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンと長門市は、3月13日に、長門市街地から俵山地区への生鮮食料(鮮魚)の配送をするため、旅客列車による貨客混載輸送とドローン配送を組み合わせたリレー配送の実証実験を実施し、報道関係者に公開したと発表した。
同実証実験は、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流”SkyHub®“の社会実装の検討に向けて行われたものであるという。
背景と目的
長門市は、農林水産業、観光産業を基幹産業として発展してきたが、高度経済成長期に産業や人口が都市圏へ集積されるようになると、若者の流出による人口減少に歯止めがかからず、平成 2 年の国勢調査人口 47,656 人が、平成 27 年には 35,439 人と約 25.6%も減少している。
今後、少子高齢化がますます進行していく見通しの中、高齢者の住み良いまちを構築するためには、日常の買い物など生活利便性の維持が求められているという。また、運送業界においては、人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題となりつつある。
そこで、物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、課題の解決を目指す実証実験に、民間企業と行政が協働して取り組むとのことだ。
実施内容
同実証では、物流事業者などの事業環境が大きく変わる中で、物を運ぶだけでなく、買い物難民の解消や公共交通の維持など地域課題解決を図ることができるように、物流網の再構築を目指すという。
今回は「貨客混載」をテーマとして、仙崎駅から長門湯本駅まではJR美祢線を利用し、JR仙崎線・長門湯本駅前から俵山温泉までドローンを利用して配送を実施。
今回のドローン配送の実証はエアロネクストが開発をした物流専用ドローンAirTruckを用いており、機体の制御には、KDDIスマートドローンが開発したモバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用。
3月13日の報道関係者への公開では、JR長門湯本駅前から俵山温泉までの片道約10kmをドローンで配送。約20分で飛行し、俵山温泉のゲストハウスのオーナーに生鮮食料品(鮮魚)を届けたという。ドローンが空から降りて来て商品が届けられた際は、住民たちから大歓声があがったとのことだ。
今後も地域住民への理解促進及び地域課題の解決へ向けドローンをはじめとする次世代高度技術を活用しドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流”SkyHub®“の社会実装に向けた検討を進めていくとしている。