アマゾン、今春にweb3事業計画を公開か?
web3やブロックチェーン関連で特に目立った動きを見せていないアマゾンだが、水面下でweb3事業計画が進んでいるようだ。
BlockWorksが独占入手した情報筋の話によると、アマゾンはレイヤー1ブロックチェーン、ブロックチェーンゲーム、デジタル資産取引所などへの投資を加速し、独自の事業を立ち上げる計画が進められている。
2人の情報筋によると、アマゾンが特に注力するのは、ブロックチェーンゲームとそれに連携するNFTだ。情報筋は、アマゾンEコマースの利用者がクリプトゲームをプレイすると無料でNFTを獲得できる仕組みが試験されており、2023年春頃にweb3関連の発表が予定されているという。
取り組みが加速し始めたのは、この数カ月。当初アマゾン幹部らは、少なくとも1つのファミリーオフィスにアプローチし、アーティストによるNFTドロップを実施する計画があったようだが、その後計画は大きく進化したとみられる。
web3ゲームについては、責任者が誰であるかは現在も不明とされるが、2人の情報筋は、ゲームのプラットフォームは、AWSではなくアマゾン本体から運営される計画だと語っている。
またBlockWorksは、上記とは別の情報筋の話として、アマゾンは他に複数のweb3関連事業を検討しており、これら新規事業の人材の多くを内部から採用する可能性が高いと報じている。
現在顧客によるブロックチェーン利用需要が高まっており、AWSではweb3領域の人材採用が進められていることは広く知られた事実となっている。一方、アマゾンEコマース部門ではこうした動きは確認されていない。
アマゾンCEOのweb3事業への姿勢
アマゾンのアンディ・ジェシーCEOの1年前の発言を振り返ってみると、同社がweb3領域に進出するという情報の信憑性はかなり高いと見て取ることができる。
CNBC SquawkBoxが2022年4月14日に公開したインタビューで、ジェシーCEOのweb3領域への見解を知ることができる。
ジェシーCEOは、NFT市場が成長に向け離陸し始めたとの見解を述べた上で、同社がNFTを販売する可能性に言及。また、アマゾンEコマースにおいて、暗号通貨による支払いメカニズムを導入する計画はないものの、暗号通貨市場がさらに成長していけば、将来的にそのようなメカニズムを導入することはあり得るとも発言している。
2021年7月、英ロンドンのフリーペーパーCity AMがアマゾンで暗号通貨による支払い計画と独自トークンの発行が実施されるとの憶測を報じたところ、ビットコイン価格が一時15%急騰する事態が起こったが、このときアマゾンは即座にこの噂を否定する声明を出している。
BlockWorksは、冒頭で触れた情報筋の話に関してアマゾンにコメントを求めたところ、返答はなかったと伝えている。同記事の最終更新は、2023年1月26日。その後、Fortuneなど大手メディアもBlockWorksの情報をもとに関連報道を行っているが、現在のところアマゾンから否定声明は出されていない模様。
市場アナリストの見解
BlockWorksの報道を受けて、市場アナリストらは、アマゾンのAWS事業における状況を鑑みると、同社がNFT市場に関心を持つことは不思議ではないとの反応を示している。
クリプト分析企業Nonsenのアンドリュー・テイト氏は、Fortuneの取材で、AWSのサーバーが人気NFTコレクションのメタデータをホストしていることを鑑みると、アマゾンはNFT市場の恩恵を受けることに関心を持つだろうと指摘。
またウェルズファーゴのアナリスト、フィッツジェラルド氏は、アマゾンがNFTとリテール事業を連携させる可能性もあり得ると述べた上で、リテール事業で販売するリアルプロダクトの所有権を証明する手段としてNFTを活用するシナリオも考えられるとの見解を論じている。
BlockWorksが報じた情報筋の話との関連性は不明であるが、2023年2月15日にはアマゾンのベンチャー投資部門Alexa Fundがweb3領域に参入した3DキャラクタースタジオSuperplasticに資金を投じたとの報道もなされている。
同スタジオは、3Dキャラクターとキャラクター玩具を制作しており、最近NFTコレクションをリリースしたばかり。これまでにグッチや人気ゲーム「フォートナイト」などとのコラボレーションを実施している。
情報筋の話が事実なら、今春にもアマゾンからweb3事業計画が公表される見込み。どのような事業が登場するのか、非常に気になるところだ。
文:細谷元(Livit)