帝国データバンクは、「放課後デイサービス(放デイ)事業者の倒産動向」について調査・分析を行った。

<調査結果(要旨)>

  • 「放課後デイサービス(放デイ)事業者」の倒産急増、昨年は過去最多に
  • 2024年の法改正で、「質の高い支援」できない事業者の淘汰進む可能性も

障がいを持つ子どもへの「福祉の在り方」が問われている。障がいのある就学児童の支援を目的とした「放課後デイサービス(放デイ)」運営企業の倒産は、2022年に14件発生し、前年の6件から2倍超に急増。民間企業が本格的に参入し始めた12年以降、最多を更新。

放課後デイサービスは、何らかの障がいを抱える6~18歳までの子どもが利用可能な福祉施設で、夏休み・冬休みなどの長期休暇等で利用できる施設を指し、2012年の児童福祉法改正以後、支援が必要な子どもの増加を背景にニーズが拡大し、参入する企業が相次いだという。

一方、営利目的に走る施設の増加が問題視され、サービスの質を上げる目的で18年に報酬改定が行われたとのことだ。

その結果、利用者獲得競争が激化していた上に、有資格者の人員配置やサービス面で課題のあった企業では報酬が減額され経営が行き詰るケースが増加。また、収益を重視した結果、利用者や職員数などを水増しした不正請求などが発覚し、事業継続を断念したケースも増えているという。

必要な人員配置や施設内トラブルなど 「法令違反」で倒産した割合が高い

実際に、これまでに倒産理由が判明した放デイ事業者29社のうち、利用者の低迷が原因となった倒産は34.5%を占め最多であることがわかった。一方、水増し請求のほか、不適切な職員配置などに起因した施設内の怪我やトラブルが原因で行政処分を受けた「法令違反」によるものも31.0%を占め、ずさんな経営体制により事業継続が立ち行かなくなったケースも多いとのことだ。

足元では、2024年の法改正で、子どもの障がい特性を踏まえた適切な発達支援を促さない放デイ事業所は、公費による支援対象から除外される見通しなど、経営環境はさらに変化する。質の高い支援やサービスが提供できない放デイ事業者の淘汰がさらに進む可能性がある。

集計期間:2023年1月1日~1月31日
発表日:2023年2月8日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産