メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業のモデルナは、RSウイルス(RSV)のmRNAワクチン候補であるmRNA-1345が、60歳以上のRSVによる下気道疾患(RSV-LRTD)の予防に関して、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬の指定を受けたことを発表した。

なお同指定は、ConquerRSV第3相ピボタル臨床試験の良好なトップラインデータに基づくものとしている。

FDAによる画期的治療薬指定は、重篤な疾患に対する治療薬の開発および審査を迅速に行うため、当該治療薬またはワクチンの予備的臨床エビデンスから、臨床的に重要な評価項目において既存の治療法よりも大幅な改善を示す可能性がある場合に行われる。

mRNA-1345は、2021年8月にFDAからファストトラック指定を受け、モデルナは2023年上半期に規制当局に承認申請を行う予定とのことだ。

ConquerRSV試験は、2つ以上の症状で定義したRSV-LRTDに対するmRNA-1345の有効性を評価した無作為化プラセボ対照二重盲検試験。

同試験の有効性における主要評価項目は達成され、2つ以上の症状で定義したRSV-LRTDに対するワクチンの有効性は83.7%(95.88%信頼区間:66.1%~92.2%、p<0.0001)、3つ以上の症状で定義したRSV-LRTDに対するワクチンの有効性は82.4%(96.36%信頼区間:34.8%~95.3%、p=0.0078)となった。

mRNA-1345の忍容性は概ね良好で、臨床的に重大な安全性の懸念は認められず、これまでに特定された副作用は大半が軽度または中等度で、mRNA-1345群で最も多く報告された有害事象は、注射部位疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、および関節痛。

重度(グレード3以上)の全身性副反応の全発現率は、mRNA-1345群で4.0%、プラセボ群で2.8%。なお、同治験は進行中であり、規制当局への提出時に安全性および忍容性の最新解析情報を提供する予定とのことだ。