2023年、リーダーの指針とは。より良い働き方を推進するための方法

米マイクロソフトは2023年1月26日、従業員対象に実施した調査結果と考察をまとめ発表した。同レポートは、米・英・日本企業の所属従業員2,700人とビジネス意思決定者1,800人を対象に、現在使用しているデジタル生産性ツールや、今後の成功に必要なツールについての所感を問うもの。その結果、同調査では2023年にビジネスリーダーの指針となるであろう 4つの重要な原則が明らかになったとのこと。

4つの重要な原則
1.新しいテクノロジに取り組む際には、従業員により多くの意見を出してもらうようにする
2.コラボレーションアプリを活用してつながりを保ち、仕事の流れの中で情報を共有する
3.組織全体でローコードツールを使えるようにし、イノベーションを加速する
4.AI を導入して雑務を自動化することで、従業員の充実感とエンゲージメントを高める

背景

過去数年間の急速な変革により、これまでの仕事や生活が根本的に変わった、と同社は述べる。サプライチェーンの混乱・経済的逆風・ハイブリッドワークへの見込みの変化など、変化の絶えない時代の中、独自のソリューションを構築する際に役立つソフトウェアや、重要なことに集中できるような人工知能ツールへの期待が高まっている。

組織が俊敏性とレジリエンスを保つには、これまで以上に効率的で柔軟に働けるようなツールが従業員に用意されているかどうかが鍵になるといえる。

これは、チームに大きな負担をかけたり、イノベーションの優先度を下げることではなく、より効果的に働き、摩擦を軽減するプロセスとツールで最高の仕事ができるようにすることであり、イノベーションと創造性を引き出し、雑務を減らしてすべての人が仕事に集中できるようにすることだという。

同社は、従業員が現在使用しているデジタル生産性ツールや、今後の成功に必要なツールについてどう感じているのか把握するため、調査を実施したとのこと。

調査概要

対象:マーケティング・セールス、カスタマーサービス、金融、サプライチェーン、IT
調査対象者の約2/3がハイブリッド勤務

同調査結果は、現在テクノロジがいかに役立っているか、また障壁になっているかを示すとともに、従業員に活力と能力を与え、生産性を高めるにあたってリーダーが採用すべきツールやプロセスに関する新たなインサイトを提供するものとのこと。

1.新しいテクノロジに取り組む際には、従業員により多くの意見を出してもらうようにする

87%の従業員が「DX の推進がこれまで以上に重要」と考える一方で、その取り組みにおいて自ら意思決定する立場にあると答えた従業員は半数 (54%) にとどまり、組織全体でDX の取り組みにおいて従業員の発言力を高めることが重要だという。

経営陣や技術部門がビジネスソフトウェアやツールの優先的な投資先として考えているものと、さまざまな場所に分散している従業員の実際のニーズとの間にギャップがあることがこのような状況を招いた要因であると同社は分析する。

これに対しリーダーにとって重要なのは、チームが新しいツールを要求できるようなシステムとプロセスを整備することだと示した。

2.コラボレーションアプリを活用してつながりを保ち、仕事の流れの中で情報を共有する

調査対象となった従業員の66%は、出勤かリモートかの選択肢が与えられており、そのうち91%は、少なくとも週に1~2日がリモートワークであると回答しているという。従業員の85%は自社の DX への取り組みに特に必要なものとしてコラボレーションツールを挙げている。日々の業務と統合されていない断片的なツールではなく、単一の統合されたプラットフォームが求められているという。

3.組織全体でローコードツールを使えるようにし、イノベーションを加速する

IT プロジェクトが滞っていたり、資金が不足していたり、常に「あと少しで実現」の状況下では、ノーコードやローコードのツールが活躍するという。このようなツールによってプロセスが自動化され、ほとんど、あるいは全くコーディングすることなく独自のアプリを作成ができる。

回答者の77%は、目標達成に役立つデジタルソリューションを構築するにあたり、ローコードおよびノーコードのツールをもっと利用できたらいいのにと考えており、84%は、コラボレーション ツールでチームのニーズに合ったカスタムビルドのアプリが作成できれば、効率的にコラボレーションができると考えているという。

同社の2022 年ローコード トレンドレポート (2022 Low-Code Trend Report) では、80% 以上がローコードツールによって、以前は開発チームが必要だった作業が自らできるようになったと回答しており、調査対象のビジネス意思決定者の半数近く (46%) が、こうしたツールによって組織の DX の取り組みの中で従業員がより直接的な役割を果たせるようになったと強く感じているとのこと。

4.AI を導入して雑務を自動化することで、従業員の充実感とエンゲージメントを高める

自動化ツールや AI ツールを利用している回答者の大半 (89%) は、本当に重要な仕事に時間を割けるため、充実感が高まったとしている。タスクを自動化できることで、他チームとよりシームレスに仕事ができると考えており (88%)、問題解決が改善したのは AI 機能のおかげだと評価しているという。その結果、89% は、さらに多くのタスクやアクティビティに AI ソリューションを適用したいと答えているとのこと。

重要なポイント

面倒な作業を削減し、目の前の業務に集中しやすくする、デジタル生産性ツールが求められていることが調査より明らかになったと同社は述べる。同時に、従業員たちがこれらのツールをどのように選択・導入するかについての発言権も求めているという。何より、どこで仕事をするにしても直感的で使いやすく、シームレスなコラボレーションと効率的な作業を実現できるツールを求めていることが調査結果より明らかになったとのこと。

──マリベル ロペス 氏(Lopez Research 創設者兼主席アナリスト)

「最終的な目標は、組織内の誰もが必要な情報にアクセスできるようになり、コーディングの方法やデータサイエンティストになる方法がわからなくても、自分が役立つと思う方法で情報をまとめられるようにすることです。それが未来の仕事の姿なのですから」

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