Zoom Video Communications, Inc.は、「4 predictions for work in 2023(2023年の働き方に関する4つの予測)」を公開したと発表した。

今年に入り、ビジネスリーダーたちは非常に大きなプレッシャーにさらされているという。高金利に伴う経済的影響、長引く世界的な不安など、ビジネス環境はきわめて不安定な状態にあるとのことだ。

先行き不透明な経済環境をどうやって乗り越えていくのか、予算やリソースが削減される中でいかにして継続的にイノベーションを起こしていくのかが、同社の既存ならびに将来の顧客の最重要課題となっているとのことだ。

同社は、2023年は「フォーカス」と「アジリティ」の年になると予想している。つながり、コミュニケーション、コラボレーションを通じて、共通のゴールに向かってチームが団結することに重点が置かれる。新たな収入源をいちはやく確保するためのクリエイティブな市場拡大方法や既存顧客へのプレミアムな体験の提供の倍増に注力することになると思われるとのことだ。

これからの働き方に関する予測

昨年、ZoomのCIO室スタッフらが、総合的なエクスペリエンス、スキルアップ、AIによるミーティング翻訳および文字起こし、業界全体のイノベーションなどの重要性を伝える記事を投稿。フレキシブルな職場環境がますます一般的になるなか、その記事の内容は現在でも当てはまるとのことだ。

・組織は総合的なエクスペリエンスの向上を目指して、従業員と顧客両方のエクスペリエンスをバランスよく高めることに注力する。つまり「従業員満足なくして顧客満足なし」ということ。
・同社はスキルセットへの投資を継続的に高め、採用した人材があらゆるワークスタイルに対応するツールを使いこなせるようにする。
・仕事のデジタル化が進むにつれAIや機械学習がより重要な役割を果たすようになり、日常業務を行う上でもこれらのツールの活用が定着することになる。
・ヘルスケア、官公庁、金融サービスなど、多くの業界がテクノロジーを導入してサービスの在り方を刷新している。

今後の課題は、人々がどこにいても、より良く協働できるより多くの方法を提供すること。その中核が「効果的なつながり」。

1.真のハイブリッドエクスペリエンスを組織に浸透

「ハイブリッド」はある種バズワードにもなった。組織は近年、ハイブリッドワーク環境やハイブリッドイベントなど、あらゆるものをハイブリッド化しようと取り組んでいるが、それはまだハイブリッドの可能性の表層に過ぎないとのことだ。

ハイブリッドエクスペリエンスを実現するには、バーチャルと対面のイベント体験をより密接に連携する必要がある。そうすることで、バーチャルと対面の両方で、シームレスなコミュニケーションやコラボレーションが実現するという。

ハイブリッドを言葉だけで終わらせるのではなく、大きく前進させ、現実のものとするためにはどうすればいいのか。

その第一歩は、真のハイブリッドエクスペリエンスの実現について経営陣の全面的な賛同を得ること。これは、出社の本当の理由を明確化することから始まり、どこからでも仕事ができて、どのような職種であっても仕事で成果を発揮できるようにテクノロジーやツールを提供することが含まれる。

さらに、近くにいる者、つまり出社する従業員が優遇される「近接性バイアス」を認識し、排除することにもつながるとのことだ。もう2023年。オンサイト、リモート、ハイブリッド、どのような環境においても従業員に成長のチャンスが平等に提供されなければならないという。

2.デジタルネイティブのワークスペースが標準化

最適な人材を雇うことは今後も重要ですが、企業はどのようにして適切な人材を集めている。現在、求めている特性は、ほんの数年前に求めていたものとは大きく異なる。問題は、デジタルネイティブに適した職場環境の設計がいまだに進んでいないことであるとのことだ。

労働者の多くは、ハイブリッド環境で仕事をするスキルをここ数年で習得したという。Z世代や若年層のミレニアル世代はそういう環境で育ってきたため、ほとんど指導しなくてもリモートやハイブリッドといった環境で仕事をこなすことができる。とはいえ、企業が採用しようと躍起になっているZ世代の人材が求めるテクノロジーと、企業のテクノロジーにはギャップがある。

どうすればデジタルネイティブに適したテクノロジーを提供できるのか。バッジをかざしてドアを開けたりワークステーションにアクセスしたりするのはもう時代遅れ。音声認識を使ったり、どこでも(文字通りどこでも)迅速にシームレスなコラボレーションを展開できること、タッチレスなワークフローなどが標準となるとしている。

その一方で、デジタルネイティブでない従業員のスキルアップも継続して、仕事ができるように、さらに重要なこととして、より包括的なコラボレーションが実現できるようにする必要がある。

3.ミーティングインテリジェンスでより多くの実用的なインサイトを獲得

テクノロジーはどのようにして人々を単純作業から解放するのか。AIや機械学習は年々進化しており、そろそろこのようなソリューションを活用した実用的な価値が提供されてもいいころであるという。優れた企業は本格的にAIを導入しており、多くの企業が追随するものと思われる。

単にカメラが自動的に話者に焦点を合わせるといった話ではなく、会話インテリジェンスを導入すれば、顧客とのやり取りにおいて有意義で実用的なインサイトを提供し、メモ取りや生産性の向上をサポート。普通の従業員が日常の雑務からどれだけ解放され、どれだけ生産性が向上するのかわかれば、驚かれるという。空いた時間やリソースを新製品の開発や顧客対応の向上など、より価値のある仕事に割り当てることができたらと考えてほしいとのことだ。

4.理想のワークスペースを実現

これは毎年「改善項目」フォルダには入っているが、今こそ本気で取り組むべきである。現代のチームには、よりふさわしい環境が必要。従来の会議室は時代遅れであり、次世代のミーティングスペースが求められているとのことだ。

想像してほしい。全面ガラス張りの会議室に入っていってテーブルのまわりの席に着き、1つのスクリーンを見つめ、1台のカメラで撮影され、どこにあるかも分からないマイクに向かって身を乗り出して話さなくていいとしたら。

知識を十分に持った組織は、従業員がそこに入っていけば、テクノロジーをどう使うのかなど意識せずにコラボレーションできるような新たな体験を提供することを考えているという。ワンタッチでスタートできる最新のスマートなセットアップとデジタルホワイトボードを導入し、自動的にリモート参加者に最適なミーティングビューを表示するインテリジェントカメラシステムを追加して、指定席をなくせば、ほとんど完成とのことだ。

その他、抜本的変革が必要な分野

他に、顧客にとって重要なトレンドは次のとおり。

「井戸端会議」を再現する

人々の日常は、バーチャルミーティングを中心にかなりスケジュール化されている。では、セレンディビティ(思いがけない発見)の瞬間やちょっとした雑談をどうやって再現すればいいのか。

スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)は「セレンディビティは重要であり、それをつくりだすことは可能だ」と考えた。多くの経営者がこの考え方を支持し、ハイブリッドの世界で新たなイノベーションの源泉を模索しているとのことだ。

2023 年初頭に発表を予定しているZoom Spotsは一種のバーチャル コワーキング スペースで、まさしくそのような考えを実現するもの。Zoom Spotsを導入すれば、仲間と「ともに仕事をする」空間を確保し、予定されたミーティング以外の自由なビデオ会話を行えるようになるとのことだ。

メタバース

そしてメタバース。仮想現実(VR)は私たちの日常に浸透しつつあるが、メタバースという概念、すなわち物理的世界と平行するデジタル世界の実現はまだ到来していない。しかし、その兆しは見えている。先進のテクノロジー企業によるメタバースイノベーションが期待される一方で、他者や世界とのつながりを高めていくことが求められる中、市場に新たな変革の波が押し寄せるのではないかと考えるとのことだ。

興味深いのは、専門的な職業訓練のほか、デートアプリやソーシャルメディアなど、没入感のあるデジタル空間でもユースケースは増えていること。こうした体験は、デジタルプロフィールに個々の音声やパーソナリティを追加することで、拡張の機会がある。

ハードウェア

現在使用しているハードウェアは3年前からオフィスにあったものとほとんど変わっていない。モニター、ノートPC、キーボードなど、いずれも25年前から同じようなものを使用している。モニターは、中央にカメラを内蔵し、テレプロンプターなどの機能も標準的に装備する必要があるとのことだ。

どのような経済環境でも成功する

最高のリーダー、特に先進的なCIOは一日の計画など立てたりしない。どのような経済状況でも価値を生み出し、組織が長期的に成長できるよう、すぐに行動を起こしている。

Zoomは、より少ないリソースで成長を推進するオペレーションのヒント、テクノロジーのベストプラクティス、最前線のインサイトを紹介する、インパクトのあるセッションを開催。

最近実施した「働き方改革サミット–日本」オンデマンド版では、さまざまな業界リーダーが不確実な時代にどのようにテクノロジーを活用しているのか、また、従業員や顧客をよりよくサポートするためのインサイトなどを見ることができるとのことだ。