プロテックスは、オミクロン対応ワクチンの一般接種が始まった2022年9月以降、新型コロナウイルス オミクロン株に対する抗体の保有量がどの様に変化するか、同社研究所で290名を対象に調査を実施し、2022年11月時点での抗体保有調査の結果を公表した。

【調査実施の背景】

厚生労働省の第80回新型コロナ感染症対策アドバイザリーボードにおける保有状況調査の結果報告によると、ワクチンの効果(抗体産生)を示す抗体の保有率は約96%となっている。

しかし、ワクチン接種者の多くが抗体保有者になっているにもかかわらず、新たなBA.5株が出現し、第8波が到来しているため、その変異株に対する免疫(抗体)を作るための新しいワクチンが導入されている。

そこでプロテックスは、オミクロン対応ワクチンが一般導入された2022年9月以降、オミクロン変異株に対する抗体保有率の現状を毎月測定し、オミクロン対応ワクチンの有効性(BA.5に対する抗体の有無)や効果(抗体量)について調査を実施したとのことだ。

【調査結果】

調査の結果、現在流行中のオミクロン株BA.5に対する抗体保有調査の状況は、2022年11月末時点で56%が十分な抗体量(参考値(※)以上)を保有していないことがわかった。

なお、抗体量の中央値については、前月と比較すると、94(AU/ml)→97(AU/ml)の微増加に。これは2022年10月中旬にスタートしたオミクロン株(BA.5)対応ワクチン接種の効果が少し表れてきている可能性が考えられるとしている。

また、BA.1に対する抗体の増加は、9月下旬に開始されたオミクロン株(BA1)対応ワクチン接種率の増加に伴う効果と考えることができるという。

そのほか、ワクチン接種回数の指標となる従来株に対する抗体量も増加していたことから、オミクロン対応ワクチンが約2か月経過したことで、社会全体に浸透しつつあると同社は考察している。

※:参考値
基準値(120AU/ml)とは、培養細胞を用いた実験上でのウイルス阻止効果が十分あると推定される抗体量(抗体価)を指す(同推定は実験による結果をもとにしたもの)。ただし、同基準値を下回ると効果がなくなるということではなく、十分な効果を示す確率が抗体量(抗体価)に応じて低下するとされている。

オミクロン株BA.5に対する抗体保有調査の状況

なお、同調査の一方で、ワクチン接種後の個人にフォーカスを当ててみると、ワクチン接種後に高い抗体量であったとしても、抗体が減少することが判明しているという。

第108回東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議の報告では、4回目接種後の中和抗体価(RBD)は、接種3か月後までほぼ横ばいで、その後に減衰し、5-6月で約1/4の抗体量(抗体価)となることが明らかとなっている。

目安としては、接種後約4か月が経過した際には、警戒が必要になってくることが示唆されたとのことだ。

ただ、ワクチン接種によって作られる抗体の種類と抗体量(抗体価)は、人によって異なるため、個人が病気になるリスクを知るためには、現在、感染の流行している変異株(BA.5)に対する抗体量を把握することが重要となるという。

その抗体保有量により、起こりうるリスクの程度を効果的に理解することができ、そのリスクを把握することで、ワクチン接種を含めた適切な感染予防策を講じることが可能となるとのことだ。

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同社は、今年5月に政府方針で「2種相当」から「5種」に移行されることで(感染対策が個人の責任に移行していく中)、この抗体保有量によるリスクの可視化により、より手堅く感染予防が進むことが期待されるとしている。

【調査概要】
検査目的:新型コロナウイルスに対する抗体の保有量調査
検査方法:従来株、オミクロン株(BA.5(BA.4))のスパイクタンパク質断片(受容体結合領域)に対する抗体の抗体保持量(抗体価)を調べられるイージードクⓇ『変異株抗体検査』にて調査
検体検査時期:2022年11月1日~2022年11月30日
対象:イージードクⓇ『変異株抗体検査』を受けた国内在住で調査協力に同意を得られた290名
対象者(10月):216名(20代以下10%、30代8%、40代23%、50代28%、60代以上31%)
対象者(11月):74名(20代以下9%、30代12%、40代26%、50代36%、60代以上16%)

<参考>
プロテックス『新型コロナウイルスに対する抗体の保有量調査』