デザイニウムと一般社団法人関西イノベーションセンターは、不動産総合デベロッパーである三菱地所と共に、複数の大型商業施設において、各施設の運営事業者向けに、VPSを活用したAR技術の活用に関する実証実験を実施したことを発表した。
同取り組みは、関西イノベーションセンターが運営するイノベーション創出拠点MUIC Kansai(以下、MUIC)の課題解決プログラムとして採択され、MUICの会員企業を含む多数の事業会社が協力し、施設の運営事業者視点での課題と展望を検証したとのことだ。
近年、VPSを活用したAR技術の利用拡大に伴い、建物などの現実の空間情報に紐づいたロケーションベースのARコンテンツ・アプリの活用事例が徐々に増加。
同件は、そうしたARの社会実装に向けて、施設の運営事業者視点での新技術に対する理解浸透や活用方法の検討、利用に伴う課題の洗い出しを行う事を目的として実施されたという。
■実証の概要
実施時期:2022年11月~2023年1月
協力施設:グランフロント大阪、なんばパークス
VPS技術:Niantic Lightship VPS、Immersal
使用機器:スマートフォン、ARグラス(Nreal Light)
同実証実験については、大阪市内のキタとミナミをそれぞれ代表する2施設が協力し、各施設を運営する事業会社の関係者のみの限定公開の下、実施されている。なお、使用するVPSについては、検証目的に応じてNiantic社のLightship VPSとImmersalの2つを選定。
■実証の流れ
(1)Immersal
ARグラス(Nreal Light)に対応可能なVPSであるImmersalを使用し、広告用の3Dエフェクトを投影。スマートフォンとARグラスのそれぞれのデバイスで、視聴する際の視認性・明視性の違い等を検証。
(2)Niantic Lightship VPS
今回、施設内にARコンテンツを投影させ、広告利用等に活用したいと考える事業者と建物の運営管理者が取引を行うケースを想定し、任意の広告画像をWebページにアップデートすることで、指定の場所に投影させるツールを実証用に開発。
また、Lightship VPSでは事前にスキャンしたマップ上のアンカーの姿勢情報を取得し、相対的な位置でARコンテンツを投影させる為、投影させるコンテンツの現実空間との整合性、および移動時の安定性等を検証。
同実証実験を通じ、各事業会社とARの活用について意見交換を行う中、ARを活用した施設の集客力の向上について期待する声が多い一方、利用者の安全性の確保など、前提として充足すべき条件についても多数挙げられ、それらを踏まえた環境下での活用促進、社会実装について検討していくとしている。
また、投影させるコンテンツについて、事業者側が意図しないコンテンツが自由に投影される事に対する懸念も強く、施設運営の妨げにならない形でのAR技術拡大につき、業界団体が作成するガイドライン等も参考にしながら、運用面でのルール形成を進めていくという。
デザイニウム、関西イノベーションセンターおよび三菱地所は、引き続きAR領域に新たなビジネスを創造し、市場の拡大・社会実装に貢献することを目指すとのことだ。